♯5 戦いの火蓋






 翌日。ハルマキはナハトに到着していた。いつ帝国兵が押し寄せてくるか分からないのだが、町人は呑気に平和な日常を送っている。


 教えてやってもいいのだが、混乱することは間違いない。


 ハルマキは町の外へ出て、帝国兵を待った。








 「見えたぞ、ナハトだ」


 帝国騎士を筆頭に、総勢一万の帝国兵がナハトを捉えた。


 「進め!皆殺しだ!」


 兵士たちが武器を掲げて雄叫びを上げた。


 町へ向け進軍していると、一人の男がこちらにゆっくり歩いてくるのが見えた。


 「我らに気付いていないのか」


 騎士が馬を走らせた。斧槍を構えて男の首を狙い振り下ろした。


 金属音が鳴った後、斧槍の刃が砕け散った。


 「何者だ、貴様」


 男は不適な笑みを浮かべた。


 「ハルマキだ」


 ハルマキは柄で騎士の胸を突き、気絶させた。


 それを見た兵士たちがハルマキ目掛けて迫ってくる。


 「殺せ!」


 鬼の形相でハルマキに斬りかかるが、難なく剣のツカハラで沈められてゆく。


 高速で移動しながら兵士たちと戦うハルマキを視界に捉えられる者は居なかった。


 ハルマキは数時間で一人も殺めることなく軍隊を制圧した。


 「俺はハルマキ!この顔と名前を忘れるなよ」


 ハルマキはこの場を後にした。






 

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