♯3 探し物






 二年後、現在。


 ──遺跡の外。少女とハルマキは財宝を手に入れ遺跡を出て歩いていた。


 「あんた、ほんとに強いわね。あ、私は」


 「サラだろ?依頼内容に書いてあった」


 サラは遠くを見つめていた。


 「なぁ」


 「なに?」


 ハルマキは二年間、リディア女王とアニスを探している。自身が強くなる一方で、今まで情報は欠片もなかった。


 「ダメ元で聞くんだけどさ」


 「彼氏はいらないわ。財宝にしか興味ないの。ごめんね」


 何故かフラれた。


 「いや、違う。……リディア女王とアニスを知ってるか?」


 サラは顎に手を当てた。


 「リディア女王は前の反乱で命を落としたとか。アニスは知らないわ」


 「そうか」


 皆、ここまでは答えられる。目撃情報が一切ないため死んだことになっている。アニスを知ってる者は一人も居なかった。


 「まさか、あなた。探してるの?女王を」


 「あぁ。俺は別の世界からアニスの魔法でこの世界に来た。リディア女王を助けて欲しいと言われた。二年前の話だ。ずっと探してるんだが、情報がない」


 サラは更に深く考えこんだ。


 「あんたは外国人なのね。それだけでびっくりなのに」


 リディア女王は生きている前提の話よね。なら……。


 「帝国に牙を剥くのはどう?お訪ね者になれば名前は知れ渡るわ」


 ハルマキの瞳が輝いた。そんな手があったのかと。


 「それだ。俺の知り合いに帝国騎士がいる。そいつを使って町狩りの情報を手に入れる。そして町狩りに来た兵士を攻撃する」 


 帝国は税を納めない町人を決して許さない。規定額の税を納められなかった町は、一人残らず皆殺しにあう。いつ狩りが始まるかは帝国騎士とそれ以上の位の者にしか分からない。町人は突然、狩りにあうのだ。それを利用しようと言うのだ。


 「善は急げだ。ありがとな、サラ。じゃ」


 ハルマキはサラと別れを告げ、森の中に隠していた飛竜に跨がった。


 飛竜の翼は羽ばたく度に樹木をも揺らした。そして森を飛び立ち、大空へ舞い上がった。


 「気持ちいいな」


 飛竜で何度空を飛んでも、気持ちがいいものだ。


 これから町に向かい、帝国騎士のギレンに手紙を出す。いつどこで町狩りが行われるか聞くためだ。


 ギレンとはもう一年くらいの仲だ。酒場で客の女がチンピラに絡まれてる所を、ギレンとハルマキが助けた。呑み明かしているうちに意気投合し、今では手紙を交わす仲となった。ギレン自体は帝国兵の上の位、帝国騎士になったものの、それほど帝国に忠誠心はない。


 「頼んだぜ、ギレン」



 



 

 

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