家族の組み合わせ
私の家族は、6人家族だった。
父と母、祖母と曾祖母、姉と私。
母と姉はそりが合わないため、家族を2分割する場合には、父と母と私、祖母と曾祖母と姉、となる。
さらに嫁姑問題(我が家の場合は嫁が強い)においては、また構図が変わってくる。
最年少の私は、家族の中で最も流動的な位置にいた。
母と姉が喧嘩をすれば二人の間を行き来し、嫁姑問題が勃発しないよう祈りながら、張りつめた食卓で黙々とおかずを口に運んだ。
母は嫉妬深い。姉や祖母といる時間が多いと、機嫌が悪くなる。その矛先は、私ではなく、姉や祖母に向けられるのだった。
どの組み合わせでも、私は気が休まらなかった。常に誰かの機嫌を伺いながら、自分の身の置き場を探していた。その置き場を間違えると、途端に家族の空気を壊してしまうという恐れさえ抱いていた。
思いやりとか、空気が読めるとか、そういった類ではない。
あの頃の私は、ただ怯えていたに過ぎないのだ。
高校を卒業すると、居心地のいい場所を求めて家を出た。
真新しい家具家電が1Kの狭いアパートにすっぽりと収まった時、身が軽くなった気がした。
ロフトに敷いたマットの上で、外が明るくなるまでぐっすり眠った。
やがて祖母と曾祖母が亡くなり、姉が結婚して義兄が婿入りした。
父と母、姉と義兄、そして私。
奇数は疎外感をより濃くする。
居場所を探し求め、見つけて失ってを繰り返す度に、私の地盤はすっかり脆くなってしまったようだ。
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