セルナーダ語の歴史です

  セルナーダ語の歴史

 かつてセルナーダはセレンディーアと呼ばれ、独自の言葉を話す先住民が住んでいた。

 彼らの使っていたセレンディーア語は膠着語であり、母音の連続がきわめて多い言語だった。また母音そのものの数も最低でも九つ、存在した。

 しかしネルサティア人がこの地に来訪し、文化的侵略をへて最終的に征服したことにより、言語の形態は激変した。古代ネルサティア語が基本となった言葉が話されるようになったのである。

 古代ネルサティア語はかなり強い屈折語であり、セレンディーア語とはまったく違った系統の言語だった。その結果、両者の交じり合った独自の言語が成立する。これが初期セルナーダ語である。

 セレンディーア語に慣れた人々にとっては、名詞まで格変化(曲用)する古代ネルサティアはきわめて難解な言葉だった。これにより、まず名詞の格変化が急速に消失していく。多くの場合、主格が残った。この主格に、セレンディーア語風に接尾辞をつけることで新たな格の表現が可能となった。

 さらに古代ネルサティア語には、五つの元素という名詞クラスによる動詞の活用も存在したが、これもまた複雑なために簡略化されていった。五つの元素はしだいに火炎形、大地形という二つの元素に統合されていくことになる。

 文法も大きく変化し、前置詞にかわりセレンディーア語に近い後置補助詞が生まれた。これは格変化や単純化した動詞の活用などを補うためのものである。本来の古代ネルサティア語の相や受動態、また使役といった表現の多くが後置補助詞により示されるようになった。

 語彙も古代ネルサティア語系列のものの多くが、セレンディーア語由来のものに置き換えられた。ごく基礎的な動詞や名詞などは古代ネルサティア語起源のものが残ったが、生活に密着した名詞などはほぼセレンディーア語起源のものに取って代わられた。さらにセレンディーア語系の話者は古来からのやり方にのっとり、もとの古代ネルサティア語の語彙を、自分たちが使いやすいように膠着語的に書き換えた。もともとネルサティア語の名詞は総合的言語のような、形態素を複合させたものが多かったため、単語から形態素を抜き出し、先住民的な流儀で次々に造語していったのである。これは、漢語を日本語の単語として新たに造語した日本語の単語に類似しているともいえる。ただし高級語彙は古代ネルサティア語のものが維持された。

 現在で単語の四割が古代ネルサティア語系、五割がセレンディーア語系、残り一割はシャラーン語族系やノルダイム語族系のものになっている。

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