文字と発音と音韻論です

 セルナーダ語の発音は表記された文字により極めて厳密に規定されている。ごく限られた例外を除き、特定の文字表記に複数の読み方が適用されることはない。このため、一度、正しい発音を覚えれば文字を見ただけで正確な発音を行うことができる。英語などとは異なり、きわめて発音の規則性が高い言語といえる。

 実際の発音を、日本語および英語などを例にして記す。

 母音は日本語の母音とほぼ同様である。異なる母音が連続した場合、若干、二重母音のように聞こえることもあるが、基本的には一音ずつ発音する。

 Bは日本語のバ行、Dはダ行、Fはファ行、Gはガ行、Hはハ行、Jはジャ行、Kはカ行、Lは英語のL、Mは日本語のマ行、Nは日本語のナ行、Pはパ行、Rは英語のR、Sはサ行、Tはタ行、Wはワ行、Zはザ行の子音とそれぞれ対応している。

 CはKの口蓋化音であり、次が母音だった際、A、U、Oのときは日本語のキャ、キュ、キョのように発音する。CEがクェ、COがキョ、になる点に注意。

 子音が口蓋化した場合、Bはビャ行、Gはギャ行、Hはヒャ行、Mはミャ行、Nはニャ行、Pはピャ行、Rはリャ行、Sはシャ行に変化する。

 ただし、発音には注意すべき点がある。現実には「セルナーダ語の正確な発音は我々の世界の人間には絶対に不可能」なのだ。これはセルナーダの「人間」が我々ホモ・サピエンスに外見上はよく似てはいるが、実際にはまったく別の生物であることに由来する。口腔などの構造が人類とは若干、異なっているため、完璧なセルナーダ語は地球人には発声できない。ここで紹介する音素はあくまで「比較的、よく似た音」にすぎないことを留意されたい。

 そのため音韻変化なども、人類の音韻論では説明が難しい例が幾つか存在する。

 

  音韻論

 セルナーダ語では、有声音と無声音、口蓋音と非口蓋音は弁別するが、有気音と無気音は弁別しない。

 基本的には一つの母音か子音、もしくは一つの子音と一つの母音で、一つの音を形成する。ただしこれには幾つかの例外がある。

 子音に限り、二種類の二重音字が存在する。tsとchである。これらが単語に現れた場合、tsは日本語のツの無声音のように、chはチの無声音のように発音する。それぞれに母音がついた場合、カタカナで無理に表記すればtsはツァ、ツィ、ツ、ツェ、ツォ、chはチャ、チ、チュ、チェ、チョに近い音に聞こえる。この場合、文字表記では二つの子音と一つの母音で一音をつくることになるが、子音はあくまで一つとして数える。

 音韻における厳密な規則として、セルナーダ語の語頭では、子音は決して連続しない。tsとchも文字表記では連続しているように見えるが、実際には一つの子音として扱う。たとえばtsaが語頭につくことはあるが、tskなどはありえないということである。

 またセルナーダ語には、長母音と長子音が存在し、短母音、短子音と弁別する。

 長母音は母音の次に記号「:」をつけて表記する。たとえばaの長母音はa:と表記され、日本語の「アー」に近い音になる。

 長子音の場合、記号「+」を長子音の前につける。ttであれば+tと表記される。長子音の次には常に母音がくる。たとえば+tの場合、+ta、+tiなどとなる。この長子音はイタリア語やフィンランド語のような発音をする。日本語でいえば促音、つまり「ッ」がこれに近い。ただし長子音は語頭には現れない。長子音の前には必ず母音がつく。たとえばe+tiの場合、日本語の「エッティ」のように発音する。

 セルナーダ語では基本的に一つの単語で子音、母音ともに三つ連続することはない。長母音、短母音、短子音はすべて一つの文字として数える。ただし、長子音のみは二つの子音の連続とされる点には注意が必要となる。このため、長子音に子音が後続することもない。そうなれば、子音が三つ以上、並ぶことになってしまうからである。

 ただし幾つかの例外がある。固有名詞ではALVEIAのように母音が三つ連続することがある。これは古風な古代ネルサティア語的な発音の仕方の名残であるが、話者によっては現代風に母音を子音にして発音をALVEYAなどに変化させることも一般的に行われている。

 セルナーダ語には二重母音などの複母音が存在しないため、これらの母音はそれぞれ一つの音節として扱う。

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