第83話 フレンジャーズ/エンドゲーム
「今日も名探偵アミメキリンの活躍で事件解決! この町の平和は守られたわ! これであの伝説の名探偵タイリクオオカミ先生に一歩近づいたわね!」
『いや、今日の事件の犯人は私の推理のおかげで判明したんじゃあ……』
「う、うるさいわね! 私だって犯人分かっていたけど推理の機会を譲ってあげたのよ! それに、新米のあなたにけいけんを積ませてあげるのも、先発の役目よ!」
『それを言うなら先輩では……というか自分は警察官でアミメキリンさんは探偵なので、先輩と後輩というかなんというか……』
「とにかく、逃げ出した犯人を捕まえたのは私なんだから今日は私の勝ちよ! もっと体力つけなさい! 男なんでしょ!」
『フレンズと体力を比べられたら立つ瀬が無いです…… 取り敢えず、現場の片付けも終わりましたし今日はもう帰りますね』
「あっ、ちょっと待ちなさい!」
『?』
「今日は何日か、分かるかしら?」
『2月14日、ですよね?』
「そう。世間的にはバレンタインだとかでうかれていたりする日よ」
『まぁ、男だらけの職場で働いてる自分には関係ない日です』
「そう、チョコ、貰ってないのね…… どうすれば自然に渡せるかしら」ボソッ
『何か言いましたか?』
「何も言ってないわ。 えっと……確かにこれまであなたに助けられたことも、ないこともないこともないわね。だから、少しだけの感謝の気持ちとして、本当にギリギリの義理だけど、チョコをあげる。はい、どうぞ」
『これは、キリン型のチョコ?』
「そうよ、名探偵たるものセンスの良い義理チョコのチョイスも出来るのよ」
『でも首のところで割れてるけど』
「うそっ!? ああああ、多分犯人と追っかけっこした時に割れちゃったんだわ。ばかばかわたしのばか! やぎ!」
『でも美味しいよ、手作り?』
「ああああ、ちょっと目の前で食べないで! あと手作りな訳ないでしょ!! もう用はないからさっさと帰りなさい!!」
「──行ったかしら」
「キリンはね、メスをオスが取り合って戦ううちに、オス同士でこ、ここ、交尾してしまうことがよくあるんですって……だからか分からないけれど……」
「憧れだったタイリクオオカミ先生に認めて貰うためにあなたと競いあっているうちに──あなたのことが気になり始めてしまったなんて……言えるわけないでしょ、ばか」
『あの───』
「ちょ!? なななななんで戻ってきたの!? ちゃんとお礼言えてなかったから? そ、そう。お礼なんか別に……それよりも何が言えるわけないって? し、知らないわ!! 盗み聞きなんて最低よ!!」
「と、とにかく頑張って作ったからちゃんと食べること! あ、いや手作りしてないわ! してないからね!!!!」
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「アミメキリンさんの手作りチョコ……グフフフフ……zzz」
現実にアミメキリンはいない、だからバレンタインは妄想するしかない、悲しみ。という訳で本編始まります。毎度更新遅くて本当に申し訳ありません……
「おい、何の夢見てんだ!? おいフリシアンこいつ面倒見きれないぞぉ!?」
「安心してくださいツチノコさん、この間ジャパリテキーラを灰皿イッキした後のあなたはこんなものではなかったですよ」
「はれ? ぼくなにしてたんですっけ? チョコは?」
「かんっぜんに寝ぼけてやがる……」
「あっそうだぁ……コイン稼がないと……」
ふらふらとおぼつかない足取りで、目的も無しに歩き出すつなぎ。
「ちょっ! おい! 勝手にどこかいくんじゃねぇ!!」
「私は───降りる」
長い時間をかけ、タイリクオオカミが選択したのは勝負からの降りであった。
「貴方がそうおっしゃるのなら、私は構いませんが……10万コインの損失、本当に不戦敗で構わないと?」
「くどいね、しつこすぎるのは感心しないよ」
タイリクオオカミは10万コイン(本当に10万枚ではなく1万チップを10枚的な感じ)を相手に渡しつつ、額の汗を拭う。鳴り響く自分の心臓が落ち着くまでたっぷり待ち、その後自分のカードを見た。
「まさかとは思ったが、やはり……」
JOKER。最強のカードでありサイクロンと合わさったりつねにアタカンタを持ってたりオタカラを盗んだりするもの。ちなみにここのトランプにはフレンズの絵柄が採用されているがJOKERはピエロ姿のミライさんであった。しかもイラストではなく写真。体張ってます。
(急に強気な姿勢に変化したこと……そしてこのJOKER)
間違いない、クイーンは自分のカードを知っていたのだ。
(だが、どうやって……)
現象に理由は付き物で、イカサマとマジックにはタネがある。そして、いつもと違う何かにそれが潜んでいるのだ。
(つまり、考えられるのはあの時)
負けが続いて冷静な判断力を失ったダチョウ、その空気を変えさせた出来事。
「あの紅茶か……!」
一見するとあからさまに怪しい行為だった、ディンゴからの紅茶の差し入れ。自分がこのゲームにあまりにも強かったから不自然さが浮き彫りになったが、普通の戦いの最中にイカサマが行われても気が付かないであろう。
(たぶん、淹れる紅茶の種類で今のカードで勝てるか勝てないかを教えているんだろう。そして、見えないカードの把握は……)
ディンゴが預かっているダチョウの卵を睨む。未来が見れるとかいうあの卵ならば、相手のカードをそこに透視するようなことも出来るのでは無いだろうか。
(なるほどね。このイカサマの肝は、イカサマを行っている相手がゲーム外にいるからその現場を抑えられないことにある。通常のフレンズなら太刀打ち出来ないだろう。だが、私には──)
「せんせぇ~! 勝ててますか~?」
(そう! 彼女という協力者がいる!)
とてとてと駆けてくるアミメキリン。いつも見ていた姿だが、今はとても頼もしく思えた。
「さて、今のゲームで勝負の流れは完全に掴みました。あちち、これ以上貴方からコインを巻き上げるのは可哀想ですから私はもう勝負を止めてあげても良いですが……どうしますか? あちち」
余裕たっぷりのダチョウは、手元のお茶をあちあち言いながら頑張って飲んでいる。多分次のイカサマには紅茶が空になっていないといけないからだが、敵ながら結構いじらしい。
「……勿論、このままでは引き下がれないさ。続けるが、少し待っててくれ。頭を冷やしてから戻ってくるよ」
席を立ち、その場から離れるタイリクオオカミ。アミメキリンもその後を追いかけ、人気の少ないところへとやってきた。
「アミメキリン、力を貸してくれ」
「へ? せんせぇ、どうしたんですか?」
「よく聞いてくれ、今私が対戦している彼女達は……」
…………
「つまり、イカサマの瞬間を抑えろってことですか?」
「そうだ。そうすれば30万は私のもの。いや、その時に大きな賭け金を賭けてたらあわよくばそれもペナルティで貰えてもっともっと多くのコインを手に入れられるかもしれない。そうすれば、アリツさん奪還に一気に近づける。」
上手くダチョウから50万枚ほど稼げれば、100万枚目前まで近づける。
「でも……」
「アミメキリン、君が頼りなんだ! 頼んだよ、こんなチャンス、滅多にあることじゃない。逃せないんだ」
そんな二人に、遠くからダチョウの声がかかる。
「どこに行ったかわからないですが、流石にそろそろ待ちくたびれました、早く始めましょう!」
「とにかくそういう訳だ、手筈通りに頼むよ!!」
急いでゲームの宅に戻るタイリクオオカミ。その顔はどことなく、狩りを始める狼の雰囲気を醸し出していた。
「せんせぇ……」
アミメキリンはその背に言葉を投げ掛けたが、届くことはなく再びゲームが始まってしまった。
「いーかさーまーいーかさーまーいーかさまー師ー♪ いかさま現場はどこにある~♪」
かたつむりの替え歌を大きな声で歌いながらけもベガスをふらつきつつも練り歩くつなぎ。何をやらかすか分からずツチノコも目が離せなかった。
「くそっ! こいつスナネコよりも始末が悪いぞ!!」
悪態をつきながらも、ツチノコはけもベガスにて離ればなれになってしまったスナネコの事を思い返す。
飽き性なのにこんなところまで調査に着いてきたスナネコ。最初にここを訪れた際にはぐれ、そしてそれ以来姿が見えず、聞き込みをしたところ間違えて多額のコインを失ってしまった為に地下に送られてしまったという。
スナネコの分のコインを稼ぎ、肩代わりして彼女を救い出さなくてはならない。勝手に着いてきたとはいえ、追い返さずここまで着いてくることを良しとしてしまった自分にも、責任があるからだ。
しかし、自分一人ではコインを少しずつ減らすだけ。そんな時にやってきたこの三人組。ツチノコは、これをチャンスだと捉えていた。だからこそ、悪態をつきながらも協力しているのだ。
「こんなのイカサマじゃないか!!」
思考に耽っていた時、近くからそんな声が上がった。
「イカサマ!?」
つなぎもめざとく反応している。
「私はちゃんと見たんだ! その穴にボールが入ろうとして、見えない壁みたいなものに弾き飛ばされたんだ!」
「証明出来ますか?」
「それは……出来ないけれど」
大きな筐体の前で、係員とフレンズが言い争っていた。電気的なしかけはない旧型のピンボール台。バスケットボールくらいのデカイ玉を打ち出し、当たり穴に入ればコインの払い出しを受けとる事が出来る。そんなゲームが設置されていた。
「ならば言いがかりは止めていただきたい。貴方はこのフレンズ喰いの巨大ピンボール通称“スワンプ“に挑んで負けたのです! どっこい、夢じゃありません……! これが現実……!」
「またあの台での揉め事か……」
「でも本当に当たらないんだよなあれ。穴に玉を入れるだけだから、数打てば当たる筈なのに……」
周りでもフレンズがぼそぼそ話している。別のフレンズがまた挑んだ。あわや入るかと思われたところで、玉が穴の前で弾き飛ばされる。
「やっぱイカサマだろー!」
「穴に細工してんだろ!!」
周りからも流石にブーイングが上がるが、係員はそれに対し筐体をパカリと開き穴の周りをペタペタと触ったり実際に穴にボールをいれたりして不正が無いことを示す。
「ほら、何もないでしょう! 言いがかりは止して頂きたい!!」
その光景を見ていたツチノコも、流石に怪しんだ。
「本当に何も無いのか? あれ」
「なにもないものがあるとか、ふふふふふふ」
「いや何いってんだオマエ……」
相変わらず酔いが抜けずふらついているつなぎを諌めながら、しかしその言葉に引っ掛かるところを感じた。
「ん? 何もない……?」
場面変わってインディアンポーカー。
タイリクオオカミは、巧みに表情を読み再び小さいながらも勝ちを続けていく。大勝したダチョウも、再びタイリクオオカミが勝ち始めた流れに少しずつ顔に焦りを見せ始める。
そして、その時は来た。
ダチョウのカードはK。かなり強い。しかし、その顔は今にも降りようとしている。恐らく、私のカードも強いのだろう。
そんなゲームの最中、ディンゴが、手元の卵に視線を落とした。今までチラリとも見ていなかった筈なのに。
(よし! 今だ、アミメキリン!!)
タイリクオオカミは、目線をあちこちに向けイカサマを止めるアミメキリンの姿を探す。
しかし、彼女はいなかった。
(…………なぜ!?)
チャンスは今しかない。ディンゴが確認を終えてしまったら紅茶を淹れてる所を止めてもイカサマはあばけない。それなのに、彼女の姿は見えない。
(嘘だ、アミメキリン……私の期待を裏切るのか!?)
「お嬢様、紅茶のおかわりです。どうぞ」
「ありがとう……」
そして、ディンゴが紅茶を淹れ終えてダチョウへと差し出した。差し出させてしまった。これを飲まれると言うことは、つまりダチョウに自分のカードが知られてしまうということで────
「ぶーーーーーっ!!??」
一口飲んだダチョウが、盛大に紅茶を吹き出した。
「けほっ、けほっ、ディンゴ! 私はミルクティーは飲めないと、以前に言ったではありませんか!!!!」
「……は? ミルクティー? いえ、私は確かにレモンティーを……」
ティーポットの残りをもう一度淹れ、再びダチョウに差し出そうとしたところでその手を止める。
「ミルクティーになっている……!?」
「はぁ、はぁ。ミルクティーでは、不都合なのかしら」
慌てふためる二人と、混乱するタイリクオオカミ。そしてゲーム台のすぐ側に、いつの間にかアミメキリンが息を切らせながら姿を見せていた。
「ま、間に合ったわ…… マスターにお願いしたの。とびきりのミルクを、誰にも気付かれずに紅茶に注いでほしいって」
「あははは……あんな真剣な顔で“早く! ミルクを注いで!!“とか言うから何事かと思ったんですが……」
確かに、バーでも目にも止まらぬ早業で飲み物をミルク割りに変えていたフリシアンなら、可能である。だがタイリクオオカミには、アミメキリンがそんな事を仕込む理由が分からなかった。
「アミメキリン! 私はそんなことを頼んではいない!! こいつらは、イカサマをしていたんだ! 確実に! それを暴いてやれば大量のコインをこいつらから奪って、それで……」
「それならダチョウが地下に送られても構わないんですか?」
アミメキリンの言葉に、辺りの空気が一瞬止まった。
「先生……!! それじゃあ、それじゃあ駄目です!! アリツさんを助けられても、代わりに不幸になるフレンズが出るだけです!」
「そ、それは……」
「先生! 目を覚ましてください! そんな先生私見たくありません!!」
以前のアミメキリンなら、タイリクオオカミの言う通りにイカサマ暴きを敢行していたかもしれない。
しかし、島を巡り色んなフレンズと出会ってきた彼女は、どうしても他者を不幸にすることで何かを得ることに納得がいかなかった。
「だがしかしそんな事を言っている場合では……!」
「先生の……分からずやー!!!!」バチコーン!!
「へぶぅ!?」
ついに炸裂したアミメビンタ。つなぎでも殴られたこと無い……いや、たくさんあった。多分二話辺りでチョップしてた記憶が筆者にはある。
そして、それを受けたタイリクオオカミはふらふらと椅子に崩れ落ちる様に腰かけた。
まるで眠ったかの様にぐったりと、しかし安らかな顔でタイリクオオカミは語り出す。
「────キリン、君にこうしてビンタされたのは、締め切りに間に合わなさすぎて原稿をヤギのようにむしゃりぱし始めた時以来だね…… 私が間違っていたよ。君の言う通りだ…… いつの間にか、この場の空気に飲まれてしまっていたんだね」
「先生、その姿勢は……まさか、眠りのギロ狼(ギロロウ)!?」
ホラー探偵ギロギロに登場する、ギロギロのライバル探偵。それが眠りのギロ狼である。たっぷり睡眠を取ってすっきりした頭で、事件を解決する狼。締め切りに終われるタイリクオオカミのゆっくり寝たいという願望から生まれたキャラであることは秘密である。
「ゲームはもう止めよう。コイン獲得に焦って、大事な事を見逃すところだった。今、考え直すとゲーム以前に君達は不自然だ……」
ゲームをもうしないと分かると、周りに集まっていたフレンズや黒服フレンズも、その場から去っていった。残ったのはダチョウとディンゴ、アミメキリンとタイリクオオカミだけ。
「100万JPの景品、アリツさん。願いが叶うだとかははったりだとして、ギャンブルの実力を見せつけるうえでは景品の獲得はうってつけだ。しかし、だからこそ協力者を用意しても、協力者側に得がない。だってアリツさんを分ける訳にはいかないし獲得した栄誉はその本人しか得られない」
「こんな殺伐とした環境で、裏切られてコイン持ち去り等の可能性があるにも関わらず協力し合う二人。そして、高度な連携…… 漠然とした何かしか感じられないが、君たちは只者ではない。少なくとも私はそう考えた」
タイリクオオカミの推理は止まらない。
「搾り取るだけ搾り取れば良いのに、私に勝った後勝負を止めるように言ったのも辻褄が合わない。私が大敗して地下に落ちてしまうのを防ぐため……違うかい?」
言葉にしなかったが、ダチョウは息を呑んだ。相変わらずポーカーフェイスには程遠い。
「ゆえに私は推測だがこう考える。景品にされたフレンズを助けるため、コインを稼いでいたのだ、と。そう考えれば、不自然だった点すべてに説明がつく。そうであれば、私は……」
タイリクオオカミはゆっくりと立ち上がり、そしてダチョウとディンゴの前に立ち頭を下げた。
「あの100万の景品になっている彼女は、私の大切な友人なんだ。こうして頭を下げることしか出来ないが、お願いだ……彼女を助け出す為に、力を、貸してくれないだろうか」
先ほどのポーカーの時のように、誰も何も言わないまま時間が流れる。
最初に口を開いたのは、ディンゴであった。
「クイーン、彼女たちなら信頼出来るでしょう。思い出しました、我らの発端であるあのミミーズ・バードキャンプ事件。それを解決したのがそこにいるアミメキリンとあともう一人、ヒトのコンビだったはず」
「そうですね、分かりました。オオカミさん、顔を上げてください。良いでしょう、貴方達に協力します」
「ほ、本当かい!?」
「ええ。貴方の推理通り、私達は貴方がたと同じ目的で動いています。改めて、自己紹介しましょう」
二人はタイリクオオカミの前に並んで立ち、姿勢を正して自分達の本当の正体を明かした。
「私はディンゴ。コードネーム“ジャック“。そして……」
「私はダチョウ、コードネーム“クイーン“。フレンズ自治組織“フレンジャーズ“のメンバーです」
ダチョウは、自分達の経緯について説明してくれた。
「私達はキョウシュウの内外問わず、パークの平和を守りたいという志のもと集まったフレンズの自治集団。普段は人知れず、影から色んな事件を解決しています」
その結成の裏にはミミ助手の黒歴史が関わっている訳だが、それは置いておこう。
「ロッジ周辺に特大の異変が起こっているということでクイーン、ジャック、キング、そしてジョーカーの4人でこの館に潜入したのですが……」
ちなみにコードネームは作戦毎に自由に付けているので、今回はギャンブルにちなんでキングやジャックとかにしたとか。
「フレンズが景品として囚われていると知り、助ける為にコインを集めていたのです。しかし、私達はけもベガスを甘くみていた。キングが、ギャンブルの魅力に囚われてしまったのです」
そう、キングチーター、彼女もまたフレンジャーズのメンバーだったのだ。しかし、今はただコインを稼ぎ力を見せつけることに固執してしまっているのだという。
「キングをギャンブル依存から解放しなくてはいけません…… しかし、彼女は猛者揃いのフレンズの中でも指折りの実力者。普通に取り押さえることは出来ない。何とかしたいのですが、どうしようもありませんでした……」
ダチョウは項垂れ、悔しさを顔に滲ませながらも話を続ける。
「キングのイカサマはものすんごく燃費が悪いです。だからスタミナ切れを狙って彼女と直接対決しようと考えた時もありました。しかし、スタミナを削ろうにも一瞬で勝負がつき、彼女のスタミナを削り切る前にこちらのコインが無くなって地下行きになってしまう」
一撃必殺、一回の勝負で10万枚近く奪われては勝負にならない。
「だからまずは他の者からコインを集めていたのです。申し訳ありません……」
「そうだったのね……」
アミメキリンは自分達の解決した事件が元でフレンジャーズが出来ているとは知らなかった。が、何はともあれ目標を同じとする同士が見つかったのだ。
「よし、なら私達4人で力をあわせて、アリツさんもキングチーターも助けだそう!!」
タイリクオオカミが手を差し出す。他の三人もその上に手を重ねる。
「「「「おー!!!」」」」
「あー……盛り上がっているところすまん……」
そんな四人に声をかけてきたのは、酔ったつなぎの介抱をしていた筈のツチノコであった。
「ちょっとツチノコ! 今良いところだったのに!」
抗議するアミメキリンに対し、頬をかきながら申し訳なさそうにツチノコは告げる。
「いや、あのな…… そのキングチーターなんだけど、つなぎが……」
ツチノコが指を指す。
そこには、辺りに麻雀牌を撒き散らし机に突っ伏したキングチーターと
`_ (三|
|ヒ_) / ̄\ LニO
| | /●) (●)\ ||
|_|( (_人_) )∧亅
| ヽ\  ̄ _/ ミノ
ヽノノ ̄|レ―-イ / ノ /
\ ヽ\ |/ イ
/ ̄二二二二二二\
`|答|つなンビア||
\_二二二二二二/
全力で両腕を上に上げガッツポーズをしているつなぎの姿があった。
「……何あれ」
アミメキリンの一言が、その場にいた他のフレンズ全ての意見を代弁していたのだった。
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