第51話 アミメキリンはそこにいるだけでいい

※事件推理回です。すっ飛ばして犯人だけ述べても良いのですが、せっかく事件を起こしたので捜査・推理パートを入れたい作者のワガママにどうかお付き合い下さい。正解発表は次回で。


追記

途中で部屋の見取り図を入れていますが、筆者のスマホ基準で入れた為パソコンだと崩れてしまっています。両方綺麗に表示させる方法が思い付かない為ひとまずそのままにさせていただきます。見苦しい物をお見せしてしまい申し訳ございません……


再追記

執筆画面と閲覧画面ではズレが生じてしまうようです。何とか近い形まで直しましたが引き続き見辛く申し訳ありません……



前回のあらすじ


ジャンジャンと共にサバカバンを脱出したつなぎ。しかしみずべちほーは、やべーセルリアンが水上で暴れまわり心を失ったフレンズがライブに向かおうとする世紀末だった。

どうしようもない状況にアミメキリン復活を試みるつなぎであったが、復活したのは厨二ポンコツキリンだった……




 復活したアミメキリンこと暗黒探偵ヤミメキリンは、怪盗PPPの引き起こした事件の謎を解くと言って聞かなかった。



「待って下さいアミメキリンさん! 今余計な事してる暇なんて無いんです!」


「ヤ ミ メ キ リ ン よ二度と間違えないでちょうだい!」


「わ、分かりましたヤミメキリンさん、今浜辺で大変な事が起こりそうなんです、早く行って何とかしないと!」


「あせる必要はないわ、全ての罪は深淵の闇で繋がっている……目の前の罪を断罪することがやがて大罪の粛清へとつながるのよ! ……ところで貴方なんて名前?」


 厨二病かも分からない罪へのこだわり。多分中途半端に除去したサンドスター・ロウのバグっぽい何かである。


「え、ええと、一応ヒトのフレンズでつなぎって呼ばれてますけど……」


「つなぎぃ? ショボい名前ね、私の手駒なのにぜんっぜん禍々しくないわ……」


「禍々しさが大事なんですね……」


「そうね、ヒトによくつけられる名字とか言うやつと、偉大なるヤギの悪魔から取って……決まったわ!」


 贅沢な名だといって“つ“だけにされることは無さそうだがろくな名前ではなさそうだ。


「嫌な予感しかしないですけど一応聞きますね、何ですか?」


「貴方の名前は“バフォメットたかた“よ!」


「最後の3文字のせいで禍々しさが微塵も無くなってる!? そしてそんな金利手数料負担しそうな名前嫌です!!」


 実はヤギに関する知識が豊富なアミメキリン。だからこそあらゆる観点からヤギとの共通点を見つけ目の前のフレンズをヤギだと断定してしまう……のかもしれない。


「めんどくさいわね……じゃあスケープ・後藤は?」


「何からその名前出てきたんですか!?」


 守備力0の後藤さんが4人召還されそうな名前である。ちなみに例のあのカードから出てくるのは羊トークン。ヤギじゃないのだ。


「しょうがないからつなぎって呼んであげるわ…… あのね、私の心の奥底から、まず誰が敵かを明白にしないといけないという意思を感じるのよ。私はやりたいことしかやらないわ、まずはこの家に感じる闇の正体、それを明らかにするのよ!」





「結局その時僕もいなかったので事件の事を聞き込みしてまとめてみました」


 そろそろつなぎも聞き込み慣れしてきている感があり、情報のまとめもスムーズである。


「本当にこんな事してる場合じゃないと思うんですけど…… ええと、事件当時の状況は……」



・部屋にいたのはプリンセス、コウテイ・イワビー・ジェーン・フルル・アデリー・ヒゲッペ・アミメキリン。ただし部屋のソファーではコウテイが、隣の部屋ではキングが寝ていた。


・犯行時間直前、ジェーンとフルルはジャパリまんを貰いに外に出ていた。


・犯行時間になると家のブレーカーが落ち真っ暗に。その時暗闇の中で声を出したのはプリンセス・コウテイ・イワビー・ヒゲッペ・キング・アミメキリン。アデリーはしゃべっていないがそこにいた。


・フルルとジェーンは家から誰かが出てくるのは見なかった。


・アデリー達の家は鍵がかけられていたが、犯行後は開いていた。そして3人の大事なものが盗まれていた。


・アデリー達の家の鍵はアデリー達自身の他に、コウテイも持っている。


・何かに気が付いたアミメキリンはブレーカー室に向かい、そこで倒れていた。




「こんなところです。アミメキリンさんなんでブレーカー室で倒れていたか覚えていません?」


「前世の記憶は欠落しているのよね…… 早く取り戻さないと」


「本当にお願いしますね……」


 つなぎは手元に持っていた紙を広げる。


「簡易的な見取り図も書いてみました、何か分かりますかね?」




         ○アデリーの家この辺




玄□□□□□□□□□□□□□□□□□□

関□□         勝手口

  □  □    □ 隣 □

  □  □ 居  □ の □

  □  □  間   □  部 □

  □ブレ□    □ 屋 □

  □□□□□□□□□□□□□□□


   ☆


 ☆ジェーン達が会ったラッキービースト



 ヤミメキリンは眉をひそめる。


「あり得ない造りの家じゃない?」



 事件に関係ある所だけ抜粋した形なので許して下さい………… by作者




「まとめると、この場にいたフレンズに犯行は出来ないって事ですかね……? 僕はコウテイさんとプリンセスさんがライブを強行していることが怪しいので、二人が犯人だと思うんですけど……」


「簡単よ…………二人のクローンが秘密裏に作られていたということね!! これは生命への冒涜だわ!!」


「い、いやまだ双子の方が可能性があるんじゃ……」


「じゃあ双子なのね!」


 つなぎは悟り始めた。このキリンはダメだと……


「やっぱりその方向性は無しで…………まだ情報が足りない気がします。ジェーンさん達にもう少し話を聞いてみましょう」



 探してみると、ブレーカー室にイワビーはいた。


「気になること? そりゃあなんでここにアミメキリンが倒れていたってこと……それはどうでもいい? じゃあ盗まれたものはどこ行ったんだろうな? 何であれを盗んだのかもわかんねぇし」


 そこまで言ってイワビーは壁に手をかける。


「そういや、この家はある程度直されてるけど元は音楽の為の家だからよ。ブレーカー室は色々剥き出しなんだよな。壁の鉄骨や天井の鉄の梁とかよ。あれ?そういや何か爪の跡みたいなのついてんな。」




 フルルは居間でジャパリまんを食べながら寝ていたコウテイについて話してくれた。


「そう言えば~、コウテイもキングも寝るときはそっくりの姿勢で寝てたよね~。私もたまにやるんだ~、うつ伏せで手足伸ばしてでろーん、て感じで寝るの~。気持ちいいよね~。それにコウテイってパワーあるな~。一人で気絶したキングを担いで寝かせるなんて~。丁度皆いないときに連れてきたみたいだからコウテイも疲れてソファーでダウンしてたみたいだけど~」



 ジェーンに話を聞きに行くと隣の部屋のベッドに腰かけていた。


「心配です…… 事件の謎が解けたらライブ会場に行くんですよね? 皆で行きましょう。アデリーさんもヒゲッペさんもキングさんも、プリンセスさんもコウテイさんもマーゲイさんも私達の仲間です、放っておくことなんて出来ません!! え?事件の事?いや私は特に気になることは……」


 ちなみにアデリー達3人はだいぶ落ち込んでいた。事件の事はあまり考えたくないため聞きたいことがもしあれば聞きに来てくれとのことだった。



「うーん、分からないわね…… つなぎ、やっぱり貴方が犯人なんでしょ? 吐きなさい?」


「優しく諭しても違うもんは違いますからね? どう考えても犯行には時間が足らない…… ブレーカーを下げてアデリーさん達の家に行って、盗んで戻ってくる、イワビーさんの証言ではそんな時間は無かったとの事でしたし」


「じゃあ予め盗んでおいたのよ!!」


「いやそんな…………いえ、あるかも……?」


 確かに元々盗んでおけばアデリーの家にいく必要は無い。無いのだが……


「しかし家には鍵がかかっていました。そこへの侵入方法が分からない…… 犯行時刻の10分ほど前までPPPの皆さんは周囲も警戒していたらしいです。アデリーさん達の家の扉が開いていたら、さすがに気が付くのでは……?」


「侵入しなくても鍵で開ければ良いだけでしょう? 無益な争いは憎しみを生むだけよ」


「そうすると鍵を持ったコウテイさんが怪しい……? アデリーさんも鍵を持ってるから開けられますが、自分のものを自分で盗むとは考えづらい…… 」



「所でこの白い粒は何かしら?」


 ヤミメキリンは地面に落ちていた白い粒をつまんで目の前に持ってくる。


「……ってセルリアンじゃない!? 後ろ向いていたから目が見えなくて気が付かなかったわ! なぜこんなところに……私の力に反応して……!?」


「……ああホワイトセルペッパー1粒落ちていたんですね。無害ですが潰しておきましょう」パッカーン


「無慈悲ね……」


「まぁセルリアンなんで…… ちょっと待ってください、さっき何て言いました?」


「無慈悲ね……」


「その前!」


「私の力に反応して?」


「さらにその前!」


「目がなくて気が付かなかった?」


「そう、それです! 後ろからじゃ目がついているのが見えないとセルリアンだと分からないわけです! ……これで、どうやって犯行時刻に現場から居なくなれたか分かりました。彼女に話を聞けば正しいか分かるはずです!」


 つなぎはあるフレンズに話を聞き、自分の推理が正しいことに確信を得た。


「これで謎は解けました。行きましょうアミメキリンさん! PPPの皆さんと一緒にライブ会場へ! そこで真実を告げライブを中止させ、集まったフレンズを避難させるんです!」


「待ちなさいつなぎ! 探偵は私よ! わ、私も謎は解けたわ! だから犯人名指しは私が、私がやるの!!」


 ヤミメキリンの暗黒成分はだいぶ抜けてきていた。ポンコツ成分の補填はまだであったが。



 ────その頃玄関の外では


「…………………………………………遅い」


 ジャンジャンが痺れをきらしてそこら辺の枝をボキボキ折って待ちくたびれていた。

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