第21.5話 ライオンのへいぼんないちにち
※ギャグなし、へったくそなシリアス回です。読まなくても問題ないのです。
ヘラジカがライオン城を訪れる前日の夜……
「大将、明日にはヘラジカも戻り、アミメキリン達から報告が聞けるでしょう」
「そっかー、色々ありがとねオリックス。これあげるよ」
ライオンはツキノワグマのためにもう一度買ってきたハチミツの一部を、彼女に差し出した。
「ありがとうございます、大将」
「いいっていいってー。さっきの訓練でも二人がだいぶ強くなっていた事が分かったし、いつも頑張ってくれてるしねー」
ライオンは、自分の部下たちの事が大好きであった。頑張りやのオーロックス、仕事が早いオリックス、真面目なツキノワグマ。自分なんかに着いてきてくれるには勿体無いフレンズ達だと思っていた。
「大将、今日は色々買ってきたんですね」
「そうだねー、手袋とか帽子とか、靴下なんかも手に入ったから色々着けてみてるんだよ。暖かいしこのまま今日は寝ちゃおうかなー」
ごろんと横になり、伸びをする。それを見てオリックスは立ち上がった。
「では私はこれで。おやすみなさい、大将」
「おやすみ~、ふわぁ……」
そうして、夜はふけていく…………
翌朝、ライオンは少し体がだるく、起きあがれないまま目を閉じてゴロゴロしていた。
(うーん、滅多に無いんだけど風邪でも引いたかなぁ)
幸い特に予定も無い。早ければ昼頃にはアミメキリン達が来るだろう。それまでに、体調を戻しておかなくては。
ライオンは、そのまま横になり寝ようとし続けたが、いまいち眠ることは出来なかった。
眠れないと色んな事を考えてしまう。
ヘラジカはいつもリーダーとして私と戦う。チームとしてはこちらが強いが、一騎討ちしたとき、ほんの僅かだがヘラジカの方が強く感じる。そして、どんどん強くなっていくことも。自分は、着いていくことは出来るのだろうかと不安になる。
それと同時に、自分がヘラジカと同じチームで戦えないことを素直に勿体無いとも感じる。あの頼もしい後ろ姿を見ながら戦えたら、背中を合わせて共闘出来たら、どんなに楽しいだろうか。
ヘラジカ軍とライオン軍であり続ける限り、その機会は訪れない。なんとなく、やだな……とライオンは思った。
そんなことを考えていたら結局眠れないままお昼頃になってしまった。
アミメキリン達は来なかったが、オリックスが近づいてくる音が聞こえる。しかし私は本当に体調が優れないようだ。先程より体が重い。
やがて、襖が開けられオリックスが入ってきた。
「大将、どうも戻ってきたヘラジカが妙な動きを見せて……」
そこまで言ってオリックスは言葉を止める。ライオンは体調が悪いことを伝えようとしていたため、ちょうど良いと思い口を開いて気がついた。
────声が、出ない。
喉が痛いとか強いストレスで声が出ないとかではない。まるで、言葉を話す機能が元々無いような。
これでは体調が悪いことを伝えられない! ライオンが焦っていると、オリックスが口を開く。
「何処から……」
ライオンは困惑しオリックスに近づく。しかし、返ってきた返答は目の前に突き付けられた槍であった。
「何処から入り込んだ、貴様ぁっ!!」
「おいっ! どうした!」
オーロックスがこちらへ駆けつける。オリックスを見た後部屋の中を覗き込み、その目が驚愕に見開かれる。
「何だと!?」
「ツキノワグマも読んできてくれ、早く!!」
「わ、分かった!」
慌てて走り去るオーロックス。そちらに向かって手を伸ばしたが、その手は槍に阻まれた。
「行かせません……!」
残ったオリックスの目に野生解放の光が宿る。その目は、こちらに敵意を向けていた。
しかし、ようやくライオンにも事情が飲み込めてきた。納得はしたくなかったが。
ライオンがオーロックスに向かって伸ばした手は、真っ黒で無機質な物だった。
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「やぁ、アミメキリン! 清々しい朝だと思わないかい? 実は、こんな噂を知っているかな? フレンズの姿をしたセルリアン。友達と思って過ごしていたら知らない内にガブッと食べられ……なに?その話はもう聞いた?」
「そうか、分かったよ。なら、別の話をしてあげよう」
「セルリアンの姿をしたフレンズ、君は知っているかな?」
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