第3話

「さて、皆に大切なお知らせがある!」


ドヤ顔、とでも言えばいいのだろうか。そんな顔で、担任の先生は一人の青年を連れて教室に入ってきた。


「今日から二週間、このクラスで教育実習を行うことになった高橋圭たかはしけい先生だ!」


女子生徒たちの悲鳴のような声が響き渡った。

それは何故か? 理由は簡単だ。

青年が、イケメンだったからだ。

涼しげな目元にすっと通った鼻筋、薄い唇。身長は百八十センチくらいあるだろう。髪型は短いけれど流行を押さえていて、彼にとても似合っていた。

自分に似合うものを知っている人だ。


「皆さん、初めまして」


その青年は、形の良い唇を三日月形にして笑った。その笑顔が酷く嘘っぽく見えて、私は思わず目を逸らした。


「高橋圭といいます。教育実習は初めてでとても緊張していますが、皆と仲良くなれたらいいなと思っています。よろしくお願いします!」


彼は深く頭を下げた。

彼が顔を上げた時、目が合ったような気がしたがきっと気のせいだろう。


「高橋先生は二週間、数学とHRを担当する。ちゃんと話を聞くように」


あと、委員長ーーと先生は私を見る。


「放課後、先生に校内を案内してあげてくれ。この学校、最初は絶対分かりにくいから」

「はい、分かりました」


クラスの女子の視線が突き刺さる。怖い。

でも、私は彼に聞きたいことがある。絶対に譲れない。

ああ、早く放課後にならないかな。

窓の外をちらりと見て、放課後の到来を待ち望んだ。

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