期末考査

 ―傍線部③について、筆者はこの文章を通じて読み手にどのようなことを伝えようとしていますか。50字以上60字以内で答えなさい。―


そんなこと聞かれても…


YouTubeで見つけたボーカルに憧れて無理に伸ばしていた髪を、今になってうっとうしくなったように掻き上げた。いつも心地よく動いてくれるシャーペンが、充電が切れたように動かなくなったのをきっかけに、少し気が飛んで、AlexandrosのStarrrrrrrが頭を巡り巡り始める。


I see a light in darkess

waited for thousand years or less

光る夜の下足が止まった

言葉を失いただ固まった


日本語の部分しか意味が分からなかったから、暗い歌詞だと思っていた。

だいたい筆者の考えとか意見とか気持ちとかって、僕に分かるものじゃないし、もし模範解答通りの答えが書けたなら、それはそれで鳥肌が立ってしまうだろう。

「筆者や登場人物に成り切って考えるのが大切だ」と塾の先生は言う。でもよく考えたら、僕は男で、登場人物は友美という女の子だ。女子に成り切れ、と言われても、バレンタインチョコを男子に渡す時の心境とか、スカートを履いた時の感覚なんて分かりっこない。


頭の中のライブハウスは一層盛り上がりを増した。サビが聞こえてくる。


彷徨って 途方に暮れたって

また明日には 新しい方角へ


ああ、そうだ。ページをめくろう。選択肢くらいは消去法でなんとかなる。


逃げ去っていく 逃げ去っていく

昔の自分にとどめ刺して


逃げろ。時間の波が追い打ちをかけてくる。記述を埋めようとこだわる自分にとどめを刺せ。まだ、始まったばかりだ。

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