2話 ふたりの流れ
ジオとユリは目を見合わせていました。(しかし、ジオはとても背が高くユリは背が小さいので、いつもジオがユリの目線に合わせてあげているのです)
「貴女の家に?」
ユリが目の前の魔女に聞きました。
「うん、おいでよ」
「貴女の家が近くにあるの?」
「そうだよ、すぐだよ」
「じゃあ、良い子だからお家に帰りなさい。」
「はーい!」と、クラリスは手をあげて帰ろうとしましたがすぐに気付いて戻ってきました。
「ちがうよ~、ふたりも一緒だよ~」
なぜか関わろうとしないユリにかわってジオが訊きました。
「どうして私たちを家に?」
「ん~、ふたりともとっても可愛い女の子だからだよ。」
「...あぁ、食べられるわね私たち。きっと五体をバラされて塩かけられて食べられるんだわ。ジオ、次会うときは皿の上よ、もしくはベッド」
「いや、ユリさんそういうことじゃないと思っ..」
「ちがうよ~、鍋でグツグツ煮込むんだよ」
とクラリスが言ったのでジオはユリを守るように抱き寄せました。クラリスはそんなふたりを訝しげに見て言いました。
「....食べないの?シチュー」
ふたりは勘違いに気付いて顔を見合わせました。
「ベッドは?」
「あるよ~、大きいベッド」
「じゃあ行きましょうか」
「え、」
ユリの一転した態度にジオは驚きました。ジオは常にユリの気持ちに合わせてあげているのです。
「なに驚いてるのよ、探し物が見つかったのよ」
「えっ、うそ、そんなバカな...」
ジオは驚き、辺りを見回しました。ジオとユリの探し物、ふたりを救ってくれるある真実が見つかったのかと。
「.....゙それ゙じゃなくてね。あなた!今日も木の根に枕して、虫の音を聞き、森の声に包まれて過ごすというの?」
ユリは身振り添えて、吟うように訴えました。り
「いや、野宿も悪くないよ、ユリさんも好きでしょ」
「ダメ!あなたも人間としての品性が残っているならベッドで集中したいでしょう」
「っ!!それはそうだけど、他人の家だよ?」
そこまで言ってジオは自分たちに今の話題をふった人物のことを思い出しました。(話は反れているけれど)
「あの子は?」
ユリは辺りを見回しましたがクラリスの姿がありません。
「ユリさんの話が長いから.....」
「なに、あなた反抗期?」
ジロリと見つめるユリに対してジオは目線を反らしていました。
「ちがうよ、結局私たちはふたりきりってことだよ。私たちの時間には誰もついてこれないんだよ」
「........そうね」
そう呟きユリは自分とジオの枷をつなぐ鎖を見つめました。
「....?」
ふと、ユリの外套の上のマントがヒソヒソと音をたてています。
「ここだよ~」
と言って、クラリスがユリのマントからバサッーっと飛び出してユリに抱きつきました。
「ねぇ、話終わった?一瞬見失っちゃったよ」
ジオとユリは目の前の子をまるで奇跡に出会ったかのように見つめていました。
「ユリさん、行ってみようか」
「そうね....」
「あ、家来るの?よかったぁ。ねぇ、ふたりの名前聞いてないよ。私はクラリス、魔女なの」
「そうなのね。私たちは.........
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