鎖の二人

1話 月明かり

夜空に月が金色に輝く冬の夜。リーンズベルのお山の上には魔女の館がありました。館には中庭があり、カーテンを開けると蝋燭はいらないくらい月の光が入ります。そのカーテンをいきおい良く開けていく人影がありました。クラリスはカーテンを開け終わると月の光にからだをさらして気持ち良さそうにしていました。

 ふと声が聞こえて来ました。

「木々たちの声が聞こえる?クラリス」

「うん、聞こえるよ、師匠」

「水晶を持ってきなさい」

はい、と返事してクラリスは廊下をかけていきました。帰って来ると持ってきた水晶を月の光に掲げました。すると水晶を通った光が床にあたり、そこに二つの影が浮かび上がりました。

「お師匠」

「行ってきなさい」

はい、と返事してクラリスは魔女の帽子をかぶり館を出ていきました。 


「月が綺麗だね、ユリさん」

月明かりに照らされた草原を歩く二人の内の背の高いきれいな白い短髪の女性が言いました。

「そうね....貴女の方がもっと綺麗よ」

もう一人の小さくて可愛らしい長くて黒い髪の女性がそう言いました。

「!!、ユリさんこそ...」

そう言われてユリはぷいっと顔をそらしました。

「考えもしなかったって顔してるわ、ジオ」

「.....」

ジオはばつが悪そうに夜空を見上げました。

空は月の光でいっぱいでした。

 ふと夜空に星が流れました。それを追って視線を下げるとそこにクラリスがいました。

「いらっしゃい、旅人さん。魔女の館に来ませんか?」

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