リーンベル
夕浦ミラ
リーンベルの魔女
祝福の街リーンズベルをかこむ山々のひとつの小山に魔女はいました。
魔女の名はクラリス。山の上の小さな館に一人暮らすクラリスは悪い魔女ではないのです。彼女の魔法はヒトとヒトを繋ぎ、二人に人々の祝福を与えます。クラリスの魔法は人々を幸せにしますがそのためには彼女自身が幸福を感じなければなりません。だから、魔女は街におりるのです。
クラリスはこの街を愛していました。街の人たちも祝福の魔女を愛しています。だから、クラリスは元気に街を駆け回り、市場で珍しい異国の物を見たり、お気に入りのお店の低い扉に身をかがめたり、路地裏の野良猫を驚かしたり、いろんなことに身を染めて全身を幸せで満たすのです。
リーンズベルの大教会には立派な鐘があるのですがとても大きく人の力では動くことはありません。ただ、人々の幸福があの鐘を鳴らすのです。
愛し合う二人が街にできると人々は準備をします。町を清め、花を飾り、赤い絨毯を敷きます。クラリスは山に戻り街を一望し、そして両手を広げ目をつぶると手のひらから光が溢れます。その光は街中に広がり、枯れた木々に集まるときれいな花が芽吹きだし見事な桜を咲かせると人々を淡紅色に包み込み鐘が鳴りだし二人を永遠に結びつけました。
幸せに沸く街を眺めながらクラリスは赤いお酒をとりだすと幸せに頬を赤らめるのです。
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