第4話

雪が叩きつける音と風の音しか聞こえない。


「ねぇ、どこまで、行くの?」


そう言ったつもりだったがちゃんと声は出ていたのか。自分ですら自分の声が聞こえない。これでは声が女の子にまで届いているか不安だ。そう思い、もう一度大きい声を出そうと息を吸い込もうとしたが空気が冷たくて肺が凍りそうになった。    


「どこまでって、さぁ? 知らない。」


振り返った彼女の顔は息ができなくなるほど綺麗だった。


突然風が威力を増し、帽子が飛んだ。


ハッとして聞こえた声に意識をもどす。

ちゃんと聞こえていた事に安堵するも、

どこまで行くか分からないことに不安を覚える。


「え、わからないの?迷子になっちゃうよ。もう帰ろう?」


私はそこではじめて怖くなり、女の子の袖を掴んだ。

しかし彼女は気にすることなくそのまま進んでいく。ここではぐれてしまったら本当に戻れないかもしれない。

そう思い必死に女の子の背中を追いかけた。



あれからどれだけ歩いたのだろう。

暫くすると吹雪はおさまり、見覚えのない広いところにでた。

そこは一面雪で埋め尽くされ、白以外何も見えない所だった。空さえ白く、周りには何もない。


その光景に見とれていると女の子の姿を見失ってしまった。

焦り辺りを半泣きになりながらみわたすと、女の子は大分遠い所に立っていた。


こちらの方を向いている。


確かに遠くにいるはずなのに、何故かその顔の表情まではっきりと見えた。

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