第3話
ビー玉を持って戻ると、女の子は窓の外をじっと見つめていた。その姿が息をのむほど綺麗で、私は一瞬声をかけられなかった。
「あった?青いガラス玉。」
「あ、うん。この中にあればいいけど…。」
私は缶の蓋をあけ、女の子にそれを差し出した。
のぞき込むと青いビー玉は四つ入っていた。
「これはどうかな?」
四つを取り出して女の子にみせる。
彼女は黙ったままじっとそれらを見つめ、暫くして手を伸ばした。
「これなら大丈夫。ありがとう。」
四つのビー玉、青いガラス玉を手に取り、彼女は微笑んだ。
私はよくわからないが嬉しくなり、
つい微笑み返していた。
「こんなに寒いのにまた外へ行くの?」
窓に手をかけていた女の子に驚き声をかける。
「ええ、寒さなんて気にしてられないわ。急がなくちゃ。」
その青いビー玉を何に使うのか、この女の子は何者なのか、気になって気になって仕方がなかった。
「気になるのならついてくる?」
じっと見つめすぎたのだろう、女の子は私を誘ってくれた。
素性のしれない女の子。吹雪。ひとり。
ついていくなんて、と今なら思うが、その時は何かとんでもないことが待っているのだろうとか、危険だろうなんて考えは一切頭になかった。
ただこの子について行かなければ。
それだけが頭にあった。
だから私は頷き、コートを着て、手袋もして、一緒に窓から外へ出た。
吹雪は酷く、少し先すら全く見えなかった。
女の子の手に引かれ、ただついて行った。
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