崩壊の原因23
そのため、我が国の戦前における文化状態に関するもっとも悲しむべきことは、ただ芸術的、一般的な創造力の欠如だけでなく、より偉大な過去の記念物を冒涜し抹殺したことであった。
芸術、特に演劇、文学のあらゆる分野にわたって、世紀の変わり目の前後から価値のある新作が生産され始めたというよりはむしろ最良の古い作品が見下げられ、劣ったもの、克服されたものと明言されるようになり始めたのである。まるでこの最も恥ずべき低劣な時代が何かを克服することができるかのようであった。
しかし、このような過去を現代人の目から隠そうとする努力から、未来の使徒を名乗る連中の悪意が明白に読み取れるのである。それによって人々は、たとえそれらは誤ったものであれ、新しい文化解釈ではないということ、またその反対に文化の基礎を破壊させるものであると、健全な芸術感覚の白痴化が問題であること、を認識するべきであっただろう。
――さらには政治上のボルシェヴィズムの精神的準備が問題なのである。なにしろペリクレス時代のパルテノンによって具体的に表現されているとするならば、ボルシェヴィズム的現代は、立体派の滑稽な絵によって具現化されているからである。
それとの関係から、我が国民の一部のその結果が再び現れていることについても触れなければならない。彼らはその教義、地位からしてこの文化的恥辱に反抗すべき義務があった人々である。
自分たちの創作を認めようとしてくれない人間を激しく攻撃し、時代遅れの俗物だとレッテルを貼る、ボルシェヴィズムの芸術連中の叫び声に対する恐怖酒から、人々は真剣な抵抗をあきらめ、どうすることもできず、運命として従ったのである。人々はこれなら愚かものや山師から無理解をとがめられるのが怖かったのだ。人々がこのような精神的退廃や狡猾な嘘つきたちの作品を理解しないのは、まるで恥であるとでも思われているのだ。
もちろん、この文化信奉者は自分たちのナンセンスに素晴らしいものであるという印象を与えるための非常に簡単な手段を所有していた。つまり彼らは理解不能で明らかに狂っているナンセンスをいわゆる内面的体験であると同時代の人々に言い聞かせていたのだ。そしてこの場合、そのような安直なやり方でほとんどの人々の口から返す言葉をはじめから取り上げてしまっているのである。というのは、それもまた一つの内面的体験であり得ることについてまったく疑う余地がなかったからである。
しかし、健全な世界に精神病者や犯罪人の幻覚を共有しても差し支えないかどうかについては十分疑うことができる。モーリッツ・フォン・シュヴェントやベックリンのような人々の作品もまた内面的体験であった。とはいえ、それらはまさしく天才的な芸術家の内面的体験であるにすぎず、決して道化役者のそれではなかった。
しかし、人々は我が国のいわゆるインテリのもつ哀れな臆病さを非常によく学ぶことができた。インテリたちは我が国民の健全な本能の毒化に対して、真剣に抵抗することを怠け、この厚かましいナンセンスと折り合いをつける仕事を国民自身に任せたのである。芸術を理解できないと見なされないために人々はあらゆる芸術的批判を我慢し、ついには善悪の判断ができなくなってしまったのだ。
全体から見てこのことは悪化しつつある時代の象徴であった。
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