第3話 喋る聖剣

目覚めた時、僕の手には黒光りする聖剣と緑色に輝いた雫型のペンダントを持っていた。

体に痛みはない。

少し体を起こすと森に帰ろうとしたゴブリンが異変に気づいたようで、僕の方ににじみよってきた。

ヤバい。このままだとまた殺される

僕は立ち上がった。

「たしか聖剣が戦い方を教えてくれるとか言ってたような…」

『なんだ?お前。俺の新しいご主人様か?

こんなひょろっとしたヤツとか勘弁だぜ。

俺を扱うならなぁ~、後一千万年修行して出直してこい!それができないのなら俺をしっかり扱えるヤツかオンナの知り合いにでも渡してくれ』

……………口悪っ!

たしかに色々と教えてくれそうだけど、口数は多いし口悪いしでどうすればいいんだ?

コレ。

「あのー、聖剣さん?それだといろいろ困るんだけど。それに今ゴブリンに襲われそうだから戦い方教えて欲しいんだけど」

『あぁ?うるせーなガキがぁ。さっさとくたばれってんだ……』

悪口ばかり言っていた聖剣が急に止み、沈黙がはしった。

「ど、どうしたの?」

『お前、そのペンダントをどこで手に入れた?そしてどうして俺はお前の手元にある?』

「え?えっと…さっさ大天使ラファエルから貰って…」

聖剣が黙りこくった。

少しずつゴブリンが寄ってきているので、できることなら早くしてほしいところだが

何かを考えてる様子だったので少し待った。

『仕方ねぇ。とりあえず今回は手伝ってやるよ。ほんとはこんなヒョロ男なんかに使われたくはないんだがな』

何を思ったのか急に素直になった。

聖剣を待ってる間にかなり近くまでゴブリンがきていた。

「良かった。それじゃあ聖剣さん僕は何をすればいいの?戦闘とかしたことないからさ」

『とりあえず俺を支える様にしろ。土台があれば後は自分で動く』

僕は頷くと聖剣を構えた。

ゴブリンの1体目が石オノを振りかぶってこちらに走ってきた。

振り下ろされた石オノを聖剣が防ぎ、ガキィンと変な金属音をたてて石オノが砕け散っり怯んだゴブリンをすかさず斬る。

その後ろから3体のゴブリンが襲いかかってくるが、回転斬りで応戦。3体は呆気なく倒れる。

残り1体

仲間がやられたことに狼狽えつつも、こっちに向かってくる。

近寄ってきたところを後ろに抜け、その際に胴体を斬る。

完全勝利

『(なんだコイツ1体目を斬った時から急に動きが良くなりやがった。最後のゴブリンは途中で俺の動きを止めてみたが、倒したってことはコイツの実力か?)』

『おい。お前本当に戦闘初めてなのか?』

「うん初めてだけど?ゴブリン倒したけど君はこの後どうするの?」

『あてがねぇーし、しばらくはお前についてくことにするぜ。お前名前は?』

「ユリスだけど。君は聖剣だけど名前はあるの?」

『名前はないが、つけるならカッコよく《シュヴァルカイザー》とかにでもしとくか』

もっと言いやすい名前はなかったのかと思いつつもここにいても仕方ないのでここを後にすることにした。

『おいユリス。どこに行こうとしてるんだ?』

「どこって家無くなっちゃったから行くところないけどコンゲール中央区でも行こうかなって……」

『お前家が無いなら金もねぇーんだろ。 

倒したゴブリンの布を持っていけよ。魔力がこもってるから高く売れるぜ』

何で聖剣がそんなこと知ってるのかとは思ったが、確かに今はお金が無い。

よし!早いとこ布をとって街に行こう……

「………それって追い剥ぎじゃない?」

『死んだモンスターに追い剥ぎもクソもねぇーだろうが。あの布はもともと人間から盗ったヤツがゴブリンの魔力にまみれて魔力を纏ったものだから、追い剥ぎにすらなんねぇよ』

僕はゴブリンの布を取りながらマメ知識を聞いていた。

「それじゃあ行こうか。シュヴァル」

『おいおい、カイザー忘れて貰っては困るぜ』

「はいはい」

こんな話をしながら僕とシュヴァルはコンゲール中央区に向かって行った。

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Le monde est divise´ ほろ兄 @11470620

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