第2話・夢の殺人事件


キーンコーンカーンコーンッ…

キーンコーンカーンコーンッ…


「いやったぁ~、やっと終わったねぇ~璃桜ちゃーんっ」


「ふふ、そうだね琴羽ちゃん

あ、そうだ、何処に行く?」


「えへへ、今日は山に近い所にある神社で5年に一度のお祭りがあるから其処に行こうよぉ!」


「わ、それ、いいね、行こう行こうっ」


放課後のチャイムが鳴り響く教室で璃桜と琴羽は何処に遊びに行くかを決めていた。

そして今日は山に近い場所で行われる30年に一度の祭りへと行こうと琴羽が提案し璃桜はそれに眼を輝かせて同意した。

頭のなかでは祭りでしか食べられない

いちご飴やベビーカステラ、わたあめと甘いものを食べられると思うと先程有った奇怪な出来事も忘れられそうだと考えてニコニコと笑顔で居た。

琴羽はそれを見てうっとりとした笑みを浮かべて璃桜を見つめている……すると



「あ、おーい、いたいた、璃桜!!」


突然声をかけてきた人物が居た。

璃桜と琴羽はその声の主の方へと振り向く

璃桜はパァッと顔が明るくなり笑顔でその人物の名を呼んだ


「あ、蒼さん?、どうしたの?」


璃桜はその人物を蒼とよんだ。

霧島 蒼(きりしま そう)璃桜や琴羽とは別のクラスにいる同じ通信制の友人であり兄的な存在で璃桜と家が近所で体型は筋肉質な優しそうな男性だった。その蒼は明るい笑顔で


「実はさ、今日、祭りがあるんだけど、一緒に行かないか?」


と、言ってきた。それを琴羽は少し眉根をを寄せつつ


「私が璃桜ちゃんと、行こうとしてたんですけど~?」


そう不機嫌そうに言った。蒼はそれにたいし苦笑いをしていた…琴羽はどうやら蒼がちょっと嫌いらしい。対する蒼は璃桜は慌ててどうしようかと少し悩んだ後に琴羽の手を握りながら


「こ、琴羽ちゃん…み、…皆で行かないかな?」


と、少し遠慮がちに提案した。

琴羽は璃桜の不安そうな表情のそれに悩んだ後、仕方なさそうに璃桜の手を握り返しながら


「――…璃桜ちゃんがそう言うなら良いよぉ」


と、璃桜へとまたうっとりと微笑みながら答えた。璃桜は琴羽の笑みに照れながら俯いたので分からなかったが何処か目の色が可笑しく少し狂気染みたそれを見ていた蒼は琴羽に対して、少し寒気を感じた様で怪訝な顔で琴羽を見て居たが我に帰り二人へと祭りへと行こうと促した。

そうして、三人はその祭りへと行くために手荷物を持って学校を後にした














―――――――――――――

―――――――――――

―――――――――

――――――

―――



「わ、わぁっ……凄い凄いっ」


祭りのやっている山の近くの神社付近まで来た三人の内、璃桜は顔を輝かせながら祭りの会場を見ていた。

まだ明るく日も落ちていない其処は

屋台と言う屋台が道路や神社の正面にある空き地にもずらりと並び最近では滅多に見られないとても豪勢で華々しいお祭りみたい。

5年に一度の盛大な祭り、鎮魂祭は名前は誰も知らないらしいがある土地神様の魂を鎮める為のお祭りらしくその土地神様の為に神社の境内で踊り子さんが舞い歌を唄い、社の裏手にある目の前はもう山のその土地神様の墓石に祭りにきた者は一輪ずつ花を置いていくと言う事をしている。花は舞や歌が終わり次第、社の前で配られるのでそれまでは屋台を見回る予定だ。

そうして璃桜が何を見ようか食べようかとキョロキョロしているときに左隣に居た蒼は璃桜の頭にぽんっと手を乗せながら


「璃桜、はしゃぐのは良いがあんまり甘いもんとか食い過ぎるなよ~、お前はただでさえデブではねぇけど、ぽっちゃりなんだからな」


そうケラケラ笑いながら言った。璃桜はそれにはっとしてしゅんっとしつつ少し涙目になりながら


「…ぅ、あ、ちゃんと、甘いもの控えるもん……」


と、悲しそうに答えた。璃桜はぽっちゃりな事を気にして居て陸上競技部に入って体を動かしているが食べること、甘いものが好きなので中々痩せられずに居る。デブではないが痩せては居ないそんな感じだ。

蒼は璃桜に言い過ぎたかなと思って謝罪を言おうと口を開いたが

その蒼の言葉と璃桜の悲しそうな言葉を聞いた璃桜の右隣に居る琴羽は舌打ちをしながら蒼の方へと顔を向き璃桜の頭に乗せている蒼の手を振り払って怒りながら


「デリカシーが無いんじゃないの?、バカにしているよね?璃桜ちゃんだって体はちゃんと動かしているし、頑張っているのよ?。これだから霧島さんは璃桜ちゃんに対して嫌な感じだよねぇ」


そう蒼を非難した。蒼は手を振り払われて少し呆然としたがそれに対して顔をしかめながら


「別に、璃桜をバカにはしていないし食べ過ぎてこれ以上太ったら周りにバカにされるんだから言っただけだ。それに……璃桜少し言い過ぎた、ごめんな」


と、琴羽にそう言いつつ璃桜の方へと顔を向けて謝罪した。いつもいつも蒼は璃桜の食生活を心配して甘いものの取りすぎを注意してくれてるし時おり家に来ては可愛がってくれて兄のように思っているし、今回も心配してくれて言ってくれたのだと璃桜は思いながら蒼へ申し訳なさそうに


「ううん、私こそごめんなさい落ち込んで、心配して言ってくれたのに勝手に拗ねて落ち込んだから……本当に甘いものはちゃんと、控えて食べるからね。

琴羽ちゃんもごめんね、蒼さんの事許してあげてくれると嬉しい。でも本当に心配してくれて怒ってくれてありがとうね」


と、そう言った。蒼は少し罰が悪そうに頭をかき、琴羽は璃桜のその言葉にしゅんとしつつ蒼へと少し頭を無言で下げて璃桜の右手に抱き着いた。そんな琴羽の姿を見た蒼は少し溜め息をついて何処に行くか?と二人へと聞いた。

璃桜は二人はどうしてこんなに仲が悪いのだろうかと思いつつ何処を最初に回ろうかと思案し始めた………


その時だった



「キャァァァァァァァァアッ!!!!」


騒がしい祭りの会場に女性の甲高い悲鳴が響き渡る……

それを聞いた人達はなんだなんだと動揺しオロオロとし社の前に居た神主や巫女や巫達はその土地神様の墓石がある社の裏へと走っていっている。璃桜は


「――社の裏みたい……何か出来ることがあるかもしれないからちょっと見てくる!」


と、神社の境内に走った。それを見た蒼や琴羽は


「っ、危険だから私も行く!!」


「璃桜!、っこのお人好し馬鹿っ!!」


そう言い璃桜の後を少し遅れて走る。

それをみていた人影の存在が在るとも知らずに……













「い、いやぁぁぁあ!!」


「な、何だ?!何なんだ……おぇっ……!!」


「だ、誰かぁ!!誰かぁぁあ!!警察をぉお!!!」


「っぅ、人の所業とは思えぬ!」



璃桜が裏へつくと墓石のちょっと離れた所に悲鳴をあげたと思わしき巫女が吐きながら発狂しその巫女をささえている巫は顔を青ざめさせながらそれを遠目から見てえづく、別の巫女は警察を呼んでくれと叫び神主は墓石の前でちょっと前で腰を抜かしそんな事を言っていた、その人集りの頭上には烏が一羽飛んでいる…

璃桜は冷や汗をかきながらその人集りに近づく……



近づくにつれてつんっとした臭いが鼻腔を満たしていく……鉄臭く何とも言えない酷い臭いがする…

そうして、璃桜はその数人の人集りが出来た場所を覗き込むと……


「――……っぁ、嘘……でしょう……?」


璃桜はそれを見て口許を抑える…

吐気がして口許を抑えたのもあるが信じられないものをその眼で見てしまったからもあった。

《それ》は昨日夢でみた女の死体だった……

女が夢で着ていた服も髪の色も同じでその殺され方も全く同じだった…

頭部は鉈でまっぷたつにされて眼は飛び出てぱっくりと裂けている処からは赤い肉が見えて脳味噌の一部が顔に飛び散り女の腹は服を捲られて裂かれていて内蔵がほとんどなく骨が見えかくれしていて脚は靴が片方脱げていてその脱げている所は血だらけで肉が見えている……相当走ったみたいだ……

璃桜は少しの間放心していたが我に帰り



「―――警察、そうだ、警察に電話しないとっ………」



そういってポケットに入ったスマホを少し震えながら取りだし電話をかけた。


「璃桜ちゃん!!…!!?」

「璃桜!!……っ!?」


その時になって漸く琴羽達が到着し駆け寄ってくるがその死体を見てしまって琴羽は口許を手で抑えてしゃがみこんでしまった。

蒼の方は顔を青ざめさせ固まってしまっている。

璃桜は二人を見て直ぐに対応してあげたかったが電話が繋がったので先に警察へと話をした。


「警察ですか!?、死体が…人が死んでるんです今すぐに来てください!!」


璃桜は場所と氏名を言った。直ぐ様警察はそちらへと緊急で行くと言い璃桜の電話を切った。

そうして璃桜は二人へと駆け寄り琴羽の背中を擦りつつ支えながら立ち上がらせて固まり青ざめた顔の蒼の腕を掴みながら二人を社の表にあるベンチに連れて行こうとした時に山の方から視線を感じたが二人を早くこの場から連れて去りたいのでその視線を無視して表へと行った……




「――――…」


山の方の木が生い茂っている所にまたあの仮面の人物は居て璃桜の方を見ながら何かを呟いていた…。


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