第1話・奇怪な出来事


ピピピピピピピピッ!


「―――…はっ……」


朝、スマホのアラームが鳴り響く、それをそのスマホの持ち主である女性は止めてむくりと起き上がった。

先程見ていたあの恐ろしい夢はなんだったのだろうかと…

恐ろしい仮面をつけた性別不明の誰かと名も知らない一人の女のその臓物と鮮血、それを見据える誰かの無慈悲で冷徹な瞳の色を………


「―…気持ち悪いわ…」


ぽつりと、夢を見た女、璃桜はそう溢した。

あまりにもリアルな人の臓物やその分泌液が溢れだし零れ落ちる光景………

まるでその場にいて体験をしたかのように鉄臭い臭いがしていたのだから…

それを思い出し身震いし吐き気がした。

そうして、スマホをもう一度手に取り見て時間を見てそろそろ学校へと行く準備をしようと立ち上がった












――――――

――――

――…











「おはよーう、璃桜ちゃんっ!」


がばっ!!


「わ、お、おはよう琴羽ちゃんっ」


璃桜の通っている学校の通信制生徒達、専用の二階のフロアの教室へと着くと一人の愛らしい女性が璃桜に抱きついてきた。

その女性は片桐 琴羽(かたぎり ことは)璃桜と同年代の親友で一年の頃に仲良くなってからいつも一緒に行動している。

琴羽は可愛くてとてもモテる子で優しく明るい、そんな琴羽がとても大好きで璃桜は抱きつかれて嬉しそうに戸惑っていた。

そんな璃桜の反応に頬をちょっと赤らめつつ嬉しそうに琴羽は口を開く


「えへへ、今日も1限からおんなじだから嬉し過ぎるよ~!あ、璃桜ちゃん!今日も放課後にちょっと遊びに行こう?」


「ふふ、うん、なら、今日も放課後遊びに行こうね」


璃桜達は学校がある日は必ず放課後に遊びに行く約束をして遊びに行く、休みの日はお互いの休みが合えば遊ぶと言う風にしているがほぼ一週間よっぽどの事がないかぎりいつも、璃桜達は遊びに行くのだ。璃桜は放課後何処に行こうかなぁ~と嬉しそうに窓側の自分の席について教科書とノートをセットし一息ついて窓を眺めた。

すると窓の外に見たことのある人を見た



「―――?」


あれ?……!?…えっ……あの人って……


璃桜達のいる教室の窓の外は池がありその向こう側にちょっとした林があり、その林にある太めの木の後ろ側にあの、昨日の夢に出てきた女を殺したであろうあの…黒衣を見に纏った恐ろしい仮面を着けた人物が居た。

その人物は璃桜の方へとは向いておらず辺りを見回して何かを探しているようだ……

璃桜は恐怖を感じてたらりと一筋の汗が額から落ちてきた



(あれは……夢で出てきた仮面の人……?…女の人を殺した……あの?……いや、でも、あれはただの悪夢であの仮面の人ではなくてただのコスプレ…?……やっぱり、それでも気味が悪い……)


璃桜は仮面の人物を見ながらそう考えていた。

すると、その仮面の人物は璃桜の方を見た。

璃桜と仮面の人物は眼が合った……

仮面の人物は遠目からしか分からないが肩がピクリと動いたみたいだ。

仮面の人物はじーっと璃桜を見続ける

璃桜は怖くなって少し眼を反らしたがまた、チラリと見た。


(…嘘………い、居なくなってる……)


璃桜が少し眼を反らした間に仮面の人物の姿は何処にも無くそのほんの少しの間に去ったとしても姿は必ず見えるはずなのに何処にも居ない…、跡形も無くなって仮面の人物なぞ端から存在していなかったかの様で璃桜は身震いした……



(……見間違いにしたって、あんなハッキリと見間違えるはずもないのに……何で…)



璃桜は昨日の夢を思い出してまた、肌寒くなった……あの、仮面の人物の冷たい目に懇願する女を無慈悲に殺して飛び散った血液と脳味噌鉄臭いまるで自分があの場にいたかのように酷い臭いが鼻腔を満たしていき気持ち悪くなったあの夢を……



(夢なのに……どうして…あんな酷い臭いがしたの……?、あの仮面の人はなんだったの……)



璃桜は夢と仮面の人物の事を一限目の授業中にずっと考えていた……

その出来事がまさか、あんな事になるとも思わずに…



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