謌華樂
クロム
1章・序
序章
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「はぁ、はぁっ……ぐっ、ぁ、はぁ、はぁ!!」
ザッ、ザッザッ、ザッ、ザッ!
女が一人夜の暗い暗い森の中を走っている
その女の顔は恐怖に満ち、全身から汗がたらたらと流れ落ち走り続けている。メイクは汗で崩れ脚は傷だらけで靴は片方脱げて血塗れになっている。大分長い間走り続けているらしく息も苦しそうだ。
すると、銀色の光が一瞬煌めき
ドスッ!
「はぁっ、ぁ、ぐっ、がぁ、あああ!!!?」
そして辛そうに息を上げ走り続けている女の背に突如、刃物が突き刺さった。
女は倒れ痛みに呻いて立ち上がろうと腕に力を入れようとする……が、今度はその手にまた刃物が突き刺された。
「がっゔぐぁぁぁぁぁぁぁあ!!!!」
痛みで女は絶叫し眼は限界まで見開かれボロボロと涙を流し、口からは泡が含まれた唾液が零れ落ち、凡そ女とは思えぬ叫び声をあげている女のその正面には仮面をつけた人物が鉈を右手に持ち左手にはナイフを持って見下ろしている。
女は眼から涙を流し続け絶叫でがらがらになった喉を震わせ懇願する。
「ぁ…、ぁ…ぅ、…謌、華…樂様、お、、ぉ、ゆ、ゆるしっ、おゆるしを!!」
その仮面の人物はその女の懇願に何とも思わなかったのだろう、その恐ろしい仮面の瞳の部分から見える眼が無感情に無慈悲に冷徹な眼だと女は感じとり、そうしてその人物は右手の鉈を高く高く上げ女に向けて降り下ろした…
ドスッ!!
鈍い音と共に辺りに、女の脳みそや脳漿、血が飛び散った……
その女の事切れた姿をその仮面の人物は相も変わらず冷たい目で見下ろし右手に持っていた鉈は女の頭部から引抜きすぐ真横に刺し、左手に持っていたナイフを右手に持ちかえ女の体を仰向けにして何かをし始めた……
そうして、手を動かしながらその人物はとある言葉を一言だけ洩らした
「――…お前でもない」
と、無感情にそれだけを言い辺りに水音を立てて何かをしていた……
真っ赤な、月の夜の暗い暗い森の中で……
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