第26話 幻の
『2018年3月6日(火曜日)』
主なニュース:
・川端康成、坂口安吾の幻の小説が相次いで発掘。
・菊池寛没後70年。
・チケットの高額転売禁止の法案成立を目指す動き。
・稀勢の里、春場所休場か。連合稽古を欠席。
ボケ:はいどうも、よろしくお願いします。
こみ:川端康成と坂口安吾の幻の小説が相次いで発掘されたらしいな。
ボケ:黄金に輝いて、湖に浮いていた小説ね。
こみ:そういうファンタジーRPG的な幻じゃない。
ボケ:いや湖の妖精の願い事を聞いて、満を持して出現させた小説でしょ?
こみ:おつかいイベントとかじゃないから。
新聞掲載後、本にならなかった小説という意味。
ボケ:なんだ、新聞には掲載しているわけだね。
虹色に輝いている新聞を、天空の城からゲット!
こみ:だからRPGじゃない、結構最後に手に入るアイテムじゃない。
ボケ:その小説を読むと、勇者の剣が出現するみたいな。
こみ:だから違うんだって、
普通の新聞に掲載されたけども、本にならなかった小説。
ボケ:じゃあ本当に日本語をしゃべる恐竜とか出てこないんだね?
こみ:全然出てこない。
ボケ:そっかぁ、ミャァー。
こみ:何その猫の鳴き声みたいなの。
ボケ:あっ、チェー。
こみ:チェーの言い間違い! 猫みたいなヤツ、チェーの言い間違い!
口の形、全然違うだろ!
ボケ:僕、腹話術師だからさ。
こみ:いや思い切り、口が動いてたよ!
ミャァーの後ろの発音になるにつれて、口があいていったぞ!
ボケ:幻の言い間違いをしてしまいました。
こみ:確かに希少性は高い言い間違いだった。
今日は菊池寛没後70年の日で、菊池寛って何した人か知ってるか?
ボケ:まあ偉人だよね。
こみ:まあ偉人だけども、具体的にさ。
ボケ:偉人のオーラを出していたよね。
こみ:まあ、オーラだけじゃなくて偉人の実績も残していたけども。
ボケ:オーラで海を二つに割って。
こみ:モーゼみたいなこと言い出した。
ボケ:左の海を芥川賞、右の海を直木賞と呼び。
こみ:あっ、マジの菊池寛とモーゼがごっちゃになってるな。
芥川賞と直木賞を創設したのは合ってるんだけど、海いらないな。
ボケ:海のような広い心で、川端康成などを支援したんだよね。
こみ:その海なら、まあいるけども。
ボケ:……とモーゼが申せてました。
こみ:申せてて、何で意味無くモーゼで駄洒落をしたんだよ。
ボケ:という幻の話があるって聞いています。
こみ:まあ、事実っぽいところだけ残すと事実なんだけども。
モーゼのくだりを無くせば事実なんだけども。
ボケ:あっ、事実なの? 芥川賞とか直木賞のくだりは。
こみ:海は割ってないけども、その2つを創設したのは本当。
川端康成の支援も本当だし。
ボケ:あー、幻の話だと思っていたら。
じゃあこれも本当かな?
こみ:話があるんだったら、まだ言ってみろよ。
ボケ:菊池寛が放ったビームが雲を割り、中から幻の小説が出てきた話。
こみ:じゃあそれは嘘だな、嘘というか幻の話だな。
ボケ:いや、結構現実味あるんじゃないかな。
こみ:菊池寛はビームを放たないから。
ボケ:それは……言い切れるの?
こみ:まあ言い切れる。
ボケ:その時代を生きたわけじゃないのに、言い切れるの?
こみ:あぁもう言い切ってやるよ、菊池寛、ビーム、放たない。
ボケ:ペンから出すオーラのようなモノも含めると、どう?
こみ:ペンから出すオーラのようなモノも含めるのか……う~ん、
それを言われるとちょっと自信がぃや! 放たない!
ボケ:君がそこまで言うのならば、もう信じるしかないね。
こみ:よっしゃ!
ペンから出すオーラのようなモノまで含めると、
ちょっと自信が揺らいできたけど、押し切った!
ボケ:そう言えば、いろいろな与党・野党のやり合いがあるけども、
超党派で、
チケットの高額転売禁止の法案成立を目指す動きがあるみたいだね。
こみ:まあそれはいいことだけどな。
ボケ:でもこれにも幻の話があるんだ。
こみ:何だそれは。
ボケ:チケットを低額で転売している業者がいるらしいんだ。
こみ:それはもう多分、何らかの騙しのからくりがあるヤツだろ。
ボケ:でも他よりも安値で転売して、
さらには作りたての味噌までくれる業者がいるらしいよ。
こみ:保存食の味噌までも!
……いやいない、それこそ幻の話だ。
ボケ:でももし本当だったら、何本でもキュウリ買っちゃうよね。
こみ:味噌目当てなんだな、オマエの発想は。
ボケ:実際その業者、キュウリいっぱい売っているらしいし。
こみ:じゃあそういうからくりの業者だよ、
いやそういうからくりの業者ってなんだよ、
キュウリ買わねぇよ、どうせ高いキュウリなんだろ。
ボケ:めちゃくちゃ高いけど、みんなつい買っちゃうって話だよ。
こみ:日本人は人が良いな、としか言えない話だった。
ボケ:あと、稀勢の里が春場所休場するのではと言われているね。
こみ:そうだな、連合稽古を欠席したらしいな。
ボケ:これにも幻の話があるんだけども。
こみ:おう、じゃあもう聞くわ、どんな話なんだ。
ボケ:稀勢の里が春場所休場するらしい! っていう。
こみ:ONの話だよ! 幻じゃねぇよ! 今聞いたわ!
ボケ:いや、元気にビックリマークが語尾につくような感じでさ。
こみ:語尾が元気になっただけで幻の話になるってなんだよ!
ボケ:いや稀勢の里が休場するという話に、
ビックリマークを付けるなんて、そんな日本人いないでしょ。
もはや幻と言ってもいいほどだよ。
こみ:幻じゃねぇよ、ゆっくり怪我を治してから
出場してほしいという日本人、結構いるわ。
ボケ:いや出るとこ見たいでしょ!
こみ:見たいけども勝つところが一番見たいんだから。
ボケ:……じゃあ幻じゃないことにしてあげます。
こみ:何で上から、もういいよ。
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