第25話 文章漫才:文章の読解力

『2018年3月5日(月曜日)』




主なニュース:

・今の中高生は文章の読解力が低いという調査結果。

・ピカソの作品をX線スキャンした結果。

・動画広告市場は2020年には2000億円突破の見込み。


ボケ:はいどうも、よろしくお願いします。

こみ:今の中高生は文章の読解力が低いという調査結果が出たらしいな。

ボケ:……どういう意味?

こみ:オマエも?

   文章を読み解く力というか、そのままだけど。

ボケ:ちょっと例を出してよ。

こみ:2の倍数を偶数、それ以外を奇数と呼ぶ。

   では2、5、8、1050の中から偶数を選べ、みたいな問題。

ボケ:……奇数のくだり必要かな?

こみ:そういう引っ掛けが入ると分かりづらくなるという。

ボケ:で、答えは何なの?

こみ:何か怪しいな、オマエ答えろよ。

ボケ:そういうのいいよ、そういう時代はもう越えてきたよ、僕。

こみ:いやじゃあ一回戻って答えてみろよ。

ボケ:1050が難読だよね。

こみ:難解な、難解でも無いけども。

ボケ:5のパワーが強い、5が襲ってくる。

こみ:そんな強くない、2、5、8、1050に強キャラはいない。

ボケ:引っ掛けかもしれないな、よしっ! 全部奇数!

こみ:しかも奇数を答えちゃった! 偶数を選べよ!

ボケ:もうこういう問題って、うがったガリ勉しか答えられないじゃん。

   そういうのは無しでいこうよ。

こみ:うがったガリ勉って何だよ。

ボケ:東大生だよ。

こみ:東大生をガリ勉だと未だに思ってるところもセンス無いし、

   もう全体的にただただセンス無いな。

ボケ:いやもう美的センスはすごいから、ピカソの絵、全部言えるから。

こみ:記憶力勝負に持ち込んでるじゃん、全部言えるだと。

ボケ:また引っ掛けかよ!

こみ:自分で言いだしてるんだよ、それに関しては。

   そう言えば、ピカソの作品をX線スキャンした結果、

   驚くべき事実が出たらしいな。

ボケ:……えっ? 何?

こみ:全然読解力無い!

ボケ:何て言ったの?

   ちょっと今、耳のシャッター閉まってた。

こみ:聞こえなかっただけか、でも耳のシャッターって何?

ボケ:耳のシャッター街だろ!

こみ:いや、勢いよくツッコまれても全然ピンとこないから話戻すわ、

   ピカソの作品をX線スキャンした結果、驚くべき事実が出た。

ボケ:スキャンってスキャンヘッドのことだっけ?

こみ:スキンヘッドみたいに言われても、

   髪がいくらあっても頭皮を直で見れるスキャンヘッドみたいに言われても。

   中にあるモノを見るみたいな意味かな、端的に言うと。

ボケ:よく分からないなぁ。

こみ:元々のモノを知らないんだなぁ、ほら、人間の骨を見るヤツみたいな、

   骨折した時に撮る写真あるじゃん、白黒の。

ボケ:なんとなく覚えました。

こみ:思い出したんじゃなくて覚えたんだ!

   じゃあ俺ももう少しちゃんとした説明すれば良かった!

ボケ:でも覚えたから、大丈夫。

こみ:大丈夫ならもういいか、スキャンした結果な、

   風景画を描き、その風景画の曲線を用いて、

   女性の姿を描いていたことが明らかになったんだよ。

ボケ:何それバカなんじゃないの?

こみ:よくそんなこと言えるな! オマエがバカだろ!

   すごい発想だろ!

ボケ:いや女性の姿を描くなら、最初から女性を見て描けばいい。

こみ:そういうことじゃないんだよなぁ、芸術って。

ボケ:芸術より僕はデザイン派なんだ、万人が好むほうが好き。

   動画広告市場は、2020年には2000億円突破の見込みだってさ、

   良いデザインがあるからこそ動画広告も盛り上がるんだ。

こみ:まあ広告はアートよりもデザインだけど一気に話変えたなぁ。

ボケ:僕らも漫才中に動画広告入れたいよね。

こみ:俺らの漫才は動画じゃねぇ!

ボケ:(ウーロン茶から虹が出ているが、

    味噌の香りがするので「サンキュー」という声が聞こえてくる)

こみ:何のト書きだよ!

ボケ:ウーロン茶のCMをやってみたんだよ、

   文字でしか表現できない感じでいいでしょう。

こみ:ボケが飛びすぎてるだろ!

ボケ:でも中途半端だと動画で再現出来たり、絵のほうが面白かったりするから、

   文字しか出来ない広告はこれくらいしないと。

こみ:広告になってないんだよ!

ボケ:(ウーロン茶がラベルを赤らめながら、

    ラブレターをコースターにして立ち、

    バイクの排気ガスの香りをどんどん、

    害の無いヤツに変えていく、すごいね)

こみ:分かりづらさが半端無いな!

ボケ:ウーロン茶の健康感が出ているでしょ!

こみ:糖分を吸収しづらくしろよ! バイクの排気ガスの香りを何かに変えるな!

ボケ:害の無い黄色い液体に。

こみ:黄色い液体は何か害がありそうだし!

ボケ:(体が半透明になるが、下半身はウーロン茶色の半透明)

こみ:えっ? 急にどうなってんのオマエっ?

ボケ:文章上の漫才だから、これくらい訳無いよ。

こみ:どういう種類のボケなのかという意味だよ。

ボケ:(ウーロン茶をコップに入れる時の、

    トクトクトクという音だけ天から聞こえる)

こみ:オマエから聞こえているわけでもない!

ボケ:透明人間型の天使が今、上空にいて、ウーロン茶を注いでいるね。

こみ:オマエのその読解力はすごいな!

ボケ:(バック宙と共に体が消える)

こみ:相方がいなくなった! バック宙したと思ったらいなくなった!

   どんな漫才だよ!

≪≪ありがとう、ウーロン茶、害は消えました≫≫

こみ:妖精みたいな声を出すな! んでオマエ、害だったんかい!

   もういいよ!

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