第23話 文章漫才:文章上の漫才師

『2018年3月3日(土曜日)』


 俺はあることに気付いた。

 それは俺が、俺たちが、文章上の漫才師だということに。


 確かに漫才している時以外の記憶は曖昧だった。

 なんとなくいつもの喫茶店に、自分の意識が出現し、

 相方と漫才を作って、作った漫才をしている時に一番目が覚め、

 そして「もういいよ」を言うと、静かに眠りにつくようなイメージ。


 いつからそうだったのか、

 これは誰が読んでいる文章なのか、いや、

 俺は誰が読んでいる文章なのか。

 何も知らないし、多分これからも知ることは出来ないだろう。


 ただ1つ気付いたことは最初に言った

 『俺たちが、文章上の漫才師だということ』だ。


 知って絶望はしなかった、むしろチャンスとも思った。

 俺にしか、俺たちにしか出来ないスタイルがあるということだから。

 文章でしか表現出来ない漫才をしてやる。


 これが俺たちの、いややはり、俺の、俺個人の

 スマート漫才師ニュースなのだ。




主なニュース:

・文化庁が打ち言葉を新たなコミュニケーションの形として位置づけた。


「はいどうも、よろしくお願いします」

「おkとか顔文字などの、いわゆる打ち言葉が新たなコミュニケーションの形として文化庁が位置づけたらしいな」

「おk」

「まあそういうこと」

「m(_ _)m おk」

「そんな平謝りしながらの、だとしたらおkじゃ軽すぎる」

「m(_ _)v おk」

「何その隠れお茶目、こうなった場合のvのパワー、半端ないな」

「m(v v)m おk」

「よく分かんないけど、よく分かんないだけど、()内が頭部じゃなくて胴体に見える、そしてvが婆さんの垂れた胸に見える」

「(v v)<もうちょっと垂れたほうがいいかな?」

「その場合はどこがしゃべってんのってなるから気持ちが悪い」

「m(_ _)m <はしゃいで、すいません」

「いやまあ漫才なんだから、はしゃぐのはいいけども」

「m m (_ _) m m」

「四足の動物になった!」

「m m (― ◇ ―) m m」

「口もデカい! 肉食動物だ!」

「実 実 (― □ ―) 実 実」

「あっ、実を持っているから草食動物だった! mって実のmだったんだ!」

「(― ■ ―)」

「口がこの色に! 多分ブドウだったんだ!」

「(― ▽ ―)」

「笑った! 合ってたんだ! ブドウで合ってたんだ!」

「(― ▽ ―) <今、白いパンツを吸ってます」

「▽は笑顔の口だと思ったら! 白いパンツを吸っている顔文字だった」

「(― ▽ ―)」

「白いパンツを吸っている時に使う顔文字だった!」

「(― ▽ ―)」

「高校生のラインでよく使われる白いパンツを吸っている時に使う顔文字だった!」

「(― ▽ ―)」

「高校生がラインで『家帰って速攻で白いパンツを吸ぅてる、なう』の顔文字だった!」

「(― ▽ ―)」

「いやそろそろ別の顔文字を使えよ! 俺がツッコミじゃなくてボケになっているだろ!」

「v(^ ^)<楽したかった」

「楽するんじゃねぇよ、あと顔文字になるって楽することだったんだな!」

「v(^ ^)」

「いやまた同じ顔文字に……って、何か音が聞こえてきたぞ」

「v(ー ー)」

「この少し真剣そうな細目……そしてこの音色!」

「ヴァイオリン(ー ー)」

「ヴァイオリン弾いてたんかい! ヴァイオリンのvだったんかい!」

「v(ー ー)」

「あぁ、ただのピースに戻った、ヴァイオリンの音色しなくなったからただのピースのvになっちゃった」

「ヴぉ肉(ー○ー)」

「ヴぉ肉って何だよ! お肉なのか! 馬肉なのか!」

「(^O^)<お肉だよ」

「じゃあお肉って言え!」

「(^お肉^)」

「さっきの口の丸、アルファベットのOだったんかい! 顔に文字入ると気持ち悪いな、顔文字って!」

「(ー肉ー)」

「でもこれだけは気持ち悪くない、我々日本人はキン肉マン慣れしているからこの文字だけは気持ち悪くない」

「(一味一)」

「これはもう全然分からない、故にやっぱり気持ち悪い」

「(一味唐辛子を一本下さい)」

「さっきの一味一、一味唐辛子を一本下さいの略語だった、おつかいの途中の略語だった」

「m(_ _)m<基本形に戻ります」

「基本形が平謝り! 確かにそうだったけども!」

「m(_ _)m               <」

「ん? 今までの言葉の始まりの部分が遠くに」

「m(_ _)m           <===3」

「危ない! 弓矢のように飛んできているぞ!」

「m(_ _)m   <===3」

「刺さるぞ! 顔を上げてかわせ!」

「m(_ _)G<」

「見ずにして掴んだ! 拳法の達人か!」

「m(_ _)G<今この漫才を俯瞰して見ていたから分かっていました」

「弓矢をそのまま、また、言葉の始まりの部分にした! すごいなオマエ! そして俯瞰も出来るのか!」

「m(^ ^)G<俯瞰というか、この漫才を文章にして読んでいたので」

「あっ! オマエはそっち側の住人だったんだ! 俺だけ文章上の人間で、オマエは読むことの出来る人間だったんだ!」

「味噌(^ ^)G<君は味噌でもなめているといいよ」

「その告白後、即味噌には手を伸ばさないから! オマエずっと顔の真横に味噌置いていたのかよ!」

「味噌(^ ^)ご飯」

「Gはご飯だった! ご飯に味噌乗っけて食べる気満々じゃねぇか!」

「味噌ご飯、お食べ>(v v)」

「田舎の婆さんの手料理だった! 味噌ご飯!」

「BGMかけてあげるよ>(ヴァイオリン ヴァイオリン)」

「豪華なBGM! 生音だ! でもだとしたら料理ももう少し豪華にしてほしい!」

「(ヴァイオニク ヴァイオニク)」

「ヴァイオニクって何だよ!」

「(倍になったお肉)」

「元々の数値が知らないのに! 何の肉かも知らないし!」

「(vvvv)」

「婆さんの垂れた胸の肉が倍になっただけだった! 倍も量じゃなくて個数が!」

「(vvv)」

「いや急に一個減らされたからって何という話だよ!」

「(VVVフェンロ)」

「急に海外のサッカーチーム名になられても! 分かんないから!」

「(フェンロ)」

「あぁもうフェンロのほう残っちゃった!」

「(v v) フェロモン」

「無いわ! じゃあ無いわ! 婆さんの胸にはフェロモンもフェンロも無い!」

「……という顔文字を文化庁が新しいコミュニケーションの形として位置づけました」

「こんな顔文字は無いけどな! もういいよ」

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