第19話 電子版

『2018年2月27日(火曜日)』




主なニュース:

・漫画コミックスの売り上げが紙より電子版が上回る

・中国が外国農地を爆買い


「はいどうも、よろしくお願いします」

「漫画コミックスの売り上げがついに紙より電子版が上回ったんだってさ」

「じゃあどうしても口を拭きたい時はどうするんだよ!」

「紙の漫画コミックスではないだろ、服の袖で拭け」

「鼻かむのだってそうだよっ!」

「空中で鼻かんで、残った少量の鼻水を服の袖で拭け」

「汚い発想だな!」

「オマエのスタートがな、鼻かむなどのスタートがな」

「でも僕は紙派かな、ウォシュレットよりも」

「終始拭く紙の話、漫画コミックスな」

「漫画コミックスも紙派かな。あの紙で、指の皮が切れるのか切れないのかのスリルね」

「そんなスリルはいらねぇだろ、じゃあ電子版のほうがいいわってなる」

「でもいつでも読めるじゃない、紙って」

「いや電子版は持ち運びが楽で、なおさらいつでも読めるんだよ」

「電力が無くなったら終わりじゃない」

「こまめに充電をしたり、バッテリーを持ち運べばいいだけ」

「あぁ、電気とデカデカと書かれた樽ね、いや持ち運べないだろ!」

「いつの時代のバッテリーだよ、樽時代ねぇよ」

「紙のめくる音もいいんだよね、ドロッっていう」

「何? オマエの漫画コミックスは沼なの? ペラっだろ」

「僕の自室が沼!」

「自室が沼!」

「だから電子版だとすぐショートを起こして読めなくなるから、紙が便利なんだ」

「自室の沼を埋めろ」

「時折、虹が差すから埋めたくないなぁ」

「それなら水槽でいい」

「水槽という手があったか、うん、今日帰ったら埋めるよ」

「納得してくれるんだ、それはまあ良かったけども」

「でも何で電子版って売れるんだろうね」

「利便性もあるし、紙じゃ買いづらい漫画コミックスを買うってのもあるし」

「めちゃくちゃ重いヤツね」

「いや重たくて持ちたくないじゃなくて、エロ・グロだね」

「エロ・グロって何? いやエロは正直知ってるよ、エアロビでしょ」

「じゃあもうエロも違う」

「エアロビさえもエロい目で見るのエロでしょ」

「じゃあそうだけど、エロい目という言葉を正しく使えているからじゃあそうだけど」

「でもグロって何かな、マグロの目玉料理みたいなこと?」

「そこまで遠くはない、まあグロテスクの略だな」

「グロテスクか……じゃあ紙で指の皮が切れるのか切れないのかのスリルのほうがいいだろ!」

「マジで返すと、グロテスクを読みたいだけで、自分は怪我したくないんだよ」

「そういうのは確かに電子版のほうがいいかぁ、そういうのばかり書店で買ってると店員にあだ名つけられるもんね」

「まあ付ける店員はいる、事実として」

「エロティカルパレードがクリティカルエロ漫画フィーバーしにきたぜ、おい……とかね」

「その言語感覚はよく分からんが、まあそんな感じのことをな」

「即グロテスクすぐ野郎が黒々とロックしてゲスくGOしにきたぜ、おい……とかね」

「その言語感覚は本当によく分からんが、まあまあ、そんな感じ、そんな感じ」

「エログロ和尚が煩悩の数だけページめくってもう元日かよ……とかね」

「それはもう、基本和尚があだ名のヤツだな、和尚というあだ名のヤツが1回そういう本買ったあとだな」

「本当エログロ和尚はそういう本ばっか入荷するよな」

「エログロ和尚、店長だった、エログロ和尚、多分店長だった。いやそんな変な言語感覚遊びはどうでもいい」

「僕も沼を埋めたら、電子版デビューかなぁ、もうエロティカルパレードとは言わせない!」

「特殊な言語感覚だなと思ったら実話だったんだ。コイツの言語感覚じゃなくて、コイツが行く書店の店員の言語感覚だったんだ」

「アイツ、声がデカくて」

「まあ客に付けたあだ名、客に聞こえているからな」

「オマエもそいつにあだ名つけられてたよ」

「えっ? どこの書店だよ」

「○△×書店」

「いやあそこの書店はオマエに付き添いで行った1回しか行ったことねぇし、何も買ってないし。じゃあエロティカルパレードの友達みたいなこと?」

「いや、丸出しの付き添い」

「丸出しの付き添いだっただけで、言われてしまうのかよ!」

「丸出しの付き添いの友達ことエロティカルパレードがさぁ、とか言ってる」

「オマエもうその書店に行くな!」

「でもエログロ和尚のチョイス入荷が、心の臓を熱くさせるんだよ」

「心臓のことを心の臓って言うな、ちょっとラッパーみたいに言うな」

「熱くさせる心の臓 このよく鳴くインコどう?」

「何そのクソ押韻! どこからそのインコ持って来たんだよ!」

「だからその書店は止められない、エログロ和尚の奥さんに変な呼ばれ方したとしても」

「変な言語感覚の人、エログロ和尚の奥さんだった! じゃあもうその店員は止めることないなぁ」

「古参だからね、ずっと店員やってるし、めちゃくちゃ美人だから言わせないと思いつつも言われたいもあったり」

「じゃあもうオマエは電子版に移行する必要無いな、でも沼は埋めろ」

「よしっ、沼は埋める」

「他のニュースでいうと、中国が外国農地を爆買いしているらしいな」

「どういうニュース?」

「食の需要が中国は大きいから、オーストラリアの牧場買ったり、ニュージーランドの酪農場を買ったり」

「でもそれもいずれ、電子版が上回るよね」

「いや牛乳とか食品は実物じゃないとダメだろ、牛乳の映像見たって腹はふくらまないだろ」

「牛乳の電子版は賞味期限無いからね」

「飲めないからな」

「牛乳の電子版を買うと、スマホから少し何か液が出たり」

「スマホの故障だよ」

「牛乳の電子版は……牛乳の電子版というお題でそんなボケ出ないよ!」

「だろうな、牛乳の電子版という言葉でもう終わってるもんな」

「もういいでしょ!」

「オマエが言い出したんだよ、牛乳の電子版は」

「あの最後の台詞言って終わらせて!」

「……じゃあいいよ」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る