第13話 追い抜き

『2018年2月22日(木曜日)』




主なニュース:

・スピードスケート女子団体パシュート(追い抜き)で金メダル

・今日は猫の日、222(にゃんにゃんにゃん)の語呂合わせ。

・日本の汚職指数、清潔度は180ヶ国中20位


「はいどうも、よろしくお願いします。スピードスケート女子団体やったね! 金メダル!」

「いやぁ素晴らしかったな」

「よくパラシュートつけた状態で追い抜けたなぁって、風の抵抗がさぁ!」

「パシュートな、パシュート、つまり追い抜きで金メダルという意味な」

「あっ、じゃあヘリコプターから飛び降りるヤツは関係無いんだね」

「全く無い」

「じゃあ妥当……かぁ」

「いやいや! 快挙だから! オランダの上をいったわけだから!」

「でも信じてた人からしたら妥当ですねとも言うよ」

「オマエは別に信じてた関係者ではないだろ」

「僕は全部金メダルを信じているから」

「日本国籍限定の聖人君主だな」

「でも追い抜きっていいね、パシュートだと絶対パラシュート浮かんじゃうから追い抜きだね」

「絶対的パラシュートではないがな」

「あぁ、バッシュもあるね」

「バスケットシューズ、略してバッシュはちょっと遠いだろ。じゃあもう絶対的パラシュートでいいわ」

「追い抜き、僕もどんどん追い抜きたいよ、ほら僕ら今最下位じゃん」

「まあ何がどうとかは言えないけど、まず最下位だな、俺たち」

「どんどん追い抜いて、いつかは行列の先頭に行きたいよね、ラーメン屋さんの」

「いやその場合はちゃんと後ろに並ばないとダメだろ」

「でもすぐラーメンって食べたいじゃないか」

「割り込む側の気持ちいらねぇ。何か、俺たちも金メダルとかでいいだろ、今の台詞の流れは」

「金メダルって、あれって本当にコースターになるの?」

「まずコースターにする噂がねぇんだよ、本当にってなんだよ」

「金メダルをコースターにして飲むコーヒー最高って事実なの?」

「じゃあ事実じゃねぇよ、そんな話聞いたことないわ」

「そんな噂も追い抜いていきたい」

「まずそんな噂ねぇから」

「僕らの漫才を見ながら飲むコーヒー最高って言わせたいよね」

「別にそんなことない、何故ならその台詞はコーヒーがメインになっているから」

「いつかね」

「いやいつかだとしても」

「そう言えば、今日2月22日は、にゃんにゃんにゃんの語呂合わせで猫の日だって、ニーニーニーで膝の日だろ!」

「膝の日ならそんなにニーを連呼しなくてもいいから、2月2日でいい」

「だとしたら猫も連呼しすぎで疲れるでしょ」

「猫は3回くらい余裕で言うわ」

「そうか、猫って体力あるもんね」

「3回鳴くくらいで体力って言うのもあれだけど」

「めっちゃ走るもんね、猫まっしぐら」

「まあそういう言い方するけど」

「猫ってどんどん追い抜いていくもんね、パラシュートつけた状態で、風の抵抗がさぁ」

「同じボケをするな」

「道を歩いていると、もうホント、バンバン猫に追い抜かれるもんね」

「そうでもねぇよ、そんなバンバン追い抜かれた日、俺には無いわ」

「僕はこの前あってさ、もう、僕の進行方向に何があるんだろうって思ってさ」

「まあそういう状況になれば、気になるな」

「だから次の猫が来たら、追いかけてやろうと思って」

「ヒマだな、オマエ」

「クラウチングスタートの格好になって、待っていたわけさ」

「ヒマだな、オマエ」

「そこからが、まぁ、来ない」

「来ないんかい!」

「ずっと道でクラウチングスタートしている人状態」

「明らかに怪しいヤツになってるな」

「スタートの鉄砲鳴らす人、鉄砲持ってくるの忘れて家に帰ってるの? みたいな状況になって」

「まあその状況になっていると思っているのはオマエだけだろうけども」

「遠巻きからの視線を感じて」

「見る人は見るだろうな」

「遠巻きで猫に囲まれて」

「あっ、猫に見られていたんだ」

「だからもう走り出して」

「まあ走り出すしかないな、もうその状況は」

「そうしたら後方の猫も前方の猫も、僕と同じ方向に走り出して」

「オマエが鉄砲鳴らす人みたいになったな、合図出す人になったな」

「でも後方の猫には一気に抜かれて」

「出た、追い抜き」

「でも必死でついていったら、僕の家の前に猫がわさわさいて」

「オマエの家がゴールだったんだ、でも何でオマエの家の前に猫がいたんだよ」

「う~ん、買った魚のビニール袋を郵便受けの中に入れて、また買い物に行ったからかな」

「じゃあ完全に理由あるな」

「せっかく1人1袋の魚を2回買いに行ったのに、クラウチングスタートの時に持っていた1袋分になっちゃったよ」

「何か遠巻きで見られていた理由も出てきたな」

「だからもうここは大盤振る舞いだ! と思ってさ」

「えっ、買ってきた魚の袋、猫にあげたの?」

「いや1人1袋のヤツ、5回くらい買いにいったよ」

「店側が意図しない大盤振る舞いのほうだな、ルール守れよ」

「でも店側も売れればいいじゃないか」

「たくさんの客にサービスしたいという意図があるんだから、ルール守れ」

「そういうことだったんだ」

「そう」

「汚職でした」

「汚職って言うほどじゃないけども」

「日本の汚職指数、清潔度は180ヶ国中20位だったけども、僕の汚職で100位になりました」

「そんな汚職ではないから、一気に引き下げるものではない」

「それは良かったぁ、あ、これもどんどん追い抜いていきたいね、どんどん汚職して」

「汚職がいいことみたいになっちゃってる、汚職をしないと追い抜けるんだよ」

「しないと追い抜けるとか、ちょっと難しいけど、頑張ります!」

「オマエは頑張りよう基本的に無いけどな、もういいよ」

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