第9話 W表彰台

『2018年2月28日(日曜日)』


 


『主なニュース:羽生は金・宇野は銀のW表彰台、衛生的すぎると花粉アレルギーになる仮説』

「はいどうも、よろしくお願いします。ついに平昌オリンピックで日本勢の金メダル!」

「あれは感動的だったな、しかもW表彰台、羽生選手が金で、宇野選手が銀、と」

「僕らもW表彰台とか憧れるよね、勿論僕が金で」

「何のスポーツもやっていないから、そんなことは全くの皆無だけどな」

「漫才コンテストがあるじゃん!」

「いやその場合何で同じ金メダルじゃないんだよ、コンビが違うんだよ」

「ボケが金メダルでツッコミが銅でしょ!」

「せめて銀だろ、その場合の銀メダルは誰だよ」

「小ボケだよ!」

「トリオになってんじゃん! 何で俺らに1人加入してんだよ!」

「マンネリ化だよ!」

「してねぇよ、売れる前からマンネリ化してたら売れねぇよ」

「じゃあなにでW表彰台あるかな、僕が得意なことを基本にして考えるかぁ」

「オマエに得意なことなんてあるか?」

「一度味噌を舐め始めたら、止まらなくなったことはある」

「得意とかじゃねぇ! せめて競技的なことにしろよ!」

「和食だから体にいいはずって思いながら」

「もう心の中で言い訳してんじゃん、和食じゃねぇし、舐めるだけなら」

「いやでも、のどが渇いても水飲まなかったから」

「だから和食だなんて言い分ねぇよ、和食にも水使うわ」

「じゃああれかな、あとはもう一度塩を舐め始めたら、止まらなくなったことしかない」

「同じエピソードだわっ」

「その時はアメリカの料理だと思うようにしたけども、うまくいかないで、一緒にご飯も食べた」

「結局ご飯食べちゃった、それに関していえば、ご飯食べちゃった」

「でも、君も舐め始めたら止まらなくなったことあるでしょ? あればW表彰台の可能性も」

「ねぇよ、舐め始めない、大人だから」

「じゃあだいぶ大人だね」

「それで大人だなぁ、ってなんねぇよ。調味料舐め始めて止まらないのは小3までだろ」

「でも調味料っておいしいよね、味噌が銀、塩が銅だね」

「塩が金だろ多分、ちょっと低めのW表彰台になってるし」

「金は赤味噌でしょ、だしの入った」

「味噌好きだなオマエ」

「味噌さえあればあとは本当に三食あればいい」

「あとは何もいらないの流れだろ、その言葉」

「マジで三食あればいい」

「俺だってそうだよ! 三食あればいいわ!」

「食に関してはだよ? あと、あっておやつね! カステラとか!」

「結局すごい求めるじゃねぇか、まずオリンピックの話はどこへ行ったんだよ」

「平昌だね」

「そうだけども! 場所で言えばそうだけども!」

「スケートは和食が金・銀独占ね」

「日本人のこと和食って言うな!」

「外食が3位」

「まず外国の食事を外食って言わない! 外食の和食もあるから!」

「やっぱり食事は外食がいいよね、家の中って結局汚いから」

「そんなことねぇよ、オマエの家が散らかっているだけだろ」

「でもね、花粉アレルギーって衛生的すぎると逆に発症しちゃう説があるんだって、だから汚いほうがいい!」

「それはまあ花粉や喘息はそうっていう説もあるな。食品アレルギーは関係無くて」

「君! 食品好きだなぁ!」

「オマエほどじゃねぇよ、まあ食品は好きだけども、みんな好きだろ」

「花粉には味噌がいいっていう説もあるから」

「そういうの結構あるから何がいいかはよく分かんないけどな」

「花粉団子には味噌!」

「味付けの話! まあ味噌付ければ何でもうまいけど」

「メダリストもメダル噛むとき、味噌つければいいのに」

「本気で食べるわけじゃないからいいんだよ」

「でもメダルを噛むって汚いよね」

「まあ衛生的ではないだろうな」

「メダリストに花粉症はいないね」

「メダリストを非衛生的みたいに言うな、みんな噛むパフォーマンスするわけじゃないし」

「日本が生んだ非衛生的サイボーグ! 林田!」

「急にどうした、何その異名」

「いや、表彰台立つ時が来たら多分異名つくだろうから、何がいいかなって」

「まず何の表彰台に立つかも決まってないのに。で、完全にディスられてんじゃん、その異名」

「でも事実だから」

「だとしたらサイボーグは事実じゃないだろ」

「よくそういう言い方するじゃん」

「まあしないことないけどな、冷徹なロボットとか、でもオマエ、ロボ系の冷静さ無いじゃん」

「どこがだよぉっ!」

「その声を張るところだよ」

「テーブルの角にゴミが刺さってる! 林田!」

「それもう多分事実だろ、パーソナルな事実だろ、あと何で刺さってんだよ」

「ゴミ箱に投げるのが面倒で、刺してある」

「ゴミを捨てるのが面倒は聞いたことあるけど、投げることさえも面倒なのかよ」

「木材ね」

「テーブルの素材なんだか分かんねぇけど多分すごい怪力だな!」

「あっ、あれ色似てたから違った、ウエハースだった」

「じゃあ全然怪力じゃねぇ! というかウエハースは食べろよ!」

「あんまおいしくなかった、やっぱり赤ちゃん用は味が薄いね」

「何で赤ちゃん用買っちゃったんだよ」

「安かったから。味噌ぬって食べようかな」

「あぁもう味噌ぬって食え! もういいよ!」

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