第182話「黄金のガーディアン」
「……ダメージ報告!! 霊糸兵器アダマス破損……被害甚大にて使用不能、01ディオスに応援を要請!! 」
ホルキオスが絶大なダメージを追って狂乱状態になる。
闇雲に身を振るう様は、死に購うミミズや百足の様で。
アダマスが前方から出せない状態分、サイドの小さいアダマスを強化させて噴出し、暴れ狂う。
これを見て斬り払おうとザジが再び剣を構えるが……
「やはり、霊力規模が足りない……」
ザジはフランベルジェを振るった直後の霊力の消費によって、オーバードエッジの霊力再補填時間(リキャストタイム)を大きく受けてしまっているのである。
(やはり……フランベルジェは、"リエッジ"出来ない……)
ザジの専門、オーバードエッジスキルは、強化形態"ツヴァイヘンダー"であってもリエッジによる霊力消費の軽減が可能であるが、"フランベルジェ"は例外で全く出来ない。
(通常オーバードエッジが一度の使用で7割から8割軽減、ツヴァイヘンダーは4割から5割軽減)
何故なら成仏の炎として変化させた霊力は、再利用が効かない。
そのせいか、たった一振りで溜め込んだ霊力を枯渇させる結果となる。
……つまり燃費が悪すぎるのだ。
「俺はしばらく動けない、誰かアイツにトドメを!! 」
「応ッ!!! 」
ザジが後方支援を要請すると、先ほど「合図したら攻撃を」と頼んで居たのに、騎士団に先を超されてしまったオーバードエッジ四天王(五人)が急に応答した。
「任せておけ!! 今しがた完成したぞ!! 」
「我等四天王(5)の必殺奥義!!」
そこには謎の固定パーツで手裏剣状に合体した四天王達の姿が……
「 ……四天王忍法!! 」
「「 オーバードエッジ卍(マンジ)手裏剣!! 」」
ザジは思う……
(オーバードエッジって忍法だっけ? )
彼等四人が手裏剣の様に合体する様子を述べると……
よくあるロボ系プラモの台座に差し込むジョイントパーツ。
これを卍の形に繋ぎ合わせ、四天王のそれぞれのプラモデルボディのケツにジョイント、剣を振り上げた状態で合体する事で手裏剣を表している!!
「回転開始!! 」
四天王の五人目が大きく股を開いて手を上げると、手の上で手裏剣になった四天王が回転する!!
「投射あああああ!!! 」
回転した四天王が大きな円盤になり、ホルキオスに目掛けて飛ぶ!!
「うおおおおお!!! オーバードエッジ!! (回転) 」
着弾と共にほとぼしる霊力、激しい衝撃がホルキオスに襲いかかる。
四天王の卍手裏剣はホルキオスの胴体を捕らえ、抉る様に斬り付けると……
勢いが無くなったのか弾き返されて、模型建物に突っ込んで止まった。
だが大きなダメージをホルキオスに与えると言う、大金星の成果を果たしたのである。
「ダメージレベル最大値、作戦継続不能!! 作戦継続不能!! 作戦……継続……」
ホルキオスが身をよじる、内部の制御システムが衝撃で致命的なダメージを受けて停止(フリーズ)している。
そして装甲が崩れ内部が露出。
目立つように見える内部パーツの箱の様な装置は、周囲の亡霊達を驚かせた。
「!? 霊力箱みたいなのが見えるぞ、おい……なんだアレ」
ザジやオーバードエッジ騎士団が騒ぎ出す、ザジ達亡霊が霊力を保存するために、正方形のキューブ状の箱を霊力タンクとして使っているが……
その霊力箱には霊力だけが入っているのではなく……
何処かで捕らえられたのか……
亡霊そのものが動力源として組み込まれているのである!!
「あの箱の亡霊、何かおかしい……」
そう……
その場に居る亡霊達が感じとる、箱でホルキオスの動力源となった亡霊には意思が感じられない、従順に動力役を行っているだけの「従順型イズビー」となっている。
「作戦行使不可能状態のホルキオスに対し、援護攻撃を開始する!! 」
上空から雷霆が落ちる、ディオスによる突然の援護攻撃だ、だが時既に遅し。
ホルキオスは破壊される寸前まで来ていたのである。
「何処を見ている羽根ドローン、お前は俺が討ち取る!! 」
その攻撃の隙をエッジビットを浮遊させたベクレムが隙を狙ってディオスに向かって距離を詰める。
「食らえ!! エッジビット展開、射出!! 」
だが所詮は霊力をブレードに走らせた投げナイフの様なもの。
ディオスの装甲は薄くてもフォーレスの効果を持ち合わせており、着弾しても装甲を抜ける気配はない。
「アオオオオン!! (援護します!!) 」
ベクレムの援護によしこが参戦する、ニードルライフルでディオスを狙う為に側面を捉える。
だが回避される!!
「ギャオン(コイツすばしっこい!! ) 」
よしこの射撃に対し、上手くボディの形状(航空機の尾翼の様な)を使った回避行動。
遊撃に適したファントムドローンであるディオスは、ホルキオスの援護を諦め、撤退の行動を見せようとしている。
「させるか! このキングオブエッジが相手だ!! 」
再び、ディオスの前に飛び込むベクレム。
逃がすのは不味いと判断したのだろう。
「前方の障害……排除!! 」
ディオスの雷霆攻撃「ケラウノス」が射出される、標的は立ちはだかるベクレムに向けられた。
「ワンワン!! (危ない!! )」
よしこが直撃を受けるベクレムに目を背ける。
以下にもバリアじゃあ耐えられない攻撃、援護も出来ない距離だ!!
雷霆がベクレムを覆い被さる、確実なボディの破壊がもたらされる筈であるが……
「……!! 」
直撃した雷霆攻撃はベクレムのボディに弾かれる様に拡散していったのだ!!
ベクレムが声高々に叫ぶ。
「これぞキングの光……」
「ハイ・ファントム……」
「「ゴールデン・アーマー!! 」」
霊糸結晶でコーティングし、黄金のボディになったベクレムが、雷霆ケラウノスの霊糸の雷を弾き!!
完全に防御したのである!!
「何それええええ!! 」
金ぴかになっただけで、ケラウノスの防御に成功するベクレムに、ザジが驚きの声を出した。
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