第180話「約束されてない勝利の見えない剣」
ザジの心の声なぞ露知らず、オーヴァードエッジ騎士団とZPDホルキオスが交戦を始める。
「ビームブレード、アダマス……起動……」
ホルキオスの先端部が大きく開きプラズマドリルのブレードが露出、そして霊糸が巻き上げられる様に回転し、糸は竜巻の様な形状になると……プラズマが霊糸を走りドリル部分を覆い尽くす大型ビームブレードが形成される!
ゼウス神の父、クロノスの鎌の名を付けられたビームブレードはホルキオスの長い形状から振るわれる様が正に「鎌(アダマス)」である。
「 !! 」
振り回すアダマスの光刃に盾を持った騎士団が対応する、それぞれがプラモデルのパーツの盾に防御のバリアの霊力を注ぎ込み……
「ハイ・ファントム……タワーシールド !! 」
何重にも重なるバリアを形成しつつ、アダマスの光刃を受け止める!
……だがこのアダマスの光刃もケラウノス同様に霊糸を幾重にも重ねて放たれる特殊な兵装の様であり、防御したバリアの上で霊糸が四散し、それぞれがプラズマで高熱を発する為にシールドの内側にも……甚大な被害がもたらされる。
「回避の出来ない重い奴は下がれ、中型サイズプラモデル部隊は遠距離に徹しろ! この攻撃は無闇にガードするな!! 」
アダマスを受けきった盾を構えた騎士団達であったが、満身創痍の状態である。
あるものはプラモデルのボディの表面が黒焦げであり、間接も多数焼き付いて痛々しい。
またあるものはプラズマの霊糸に斬り付けられ表面がズタズタに……中には戦闘困難な亡霊も多数ある。
ザジはプラズマ攻撃をする相手の装備に何か思うと、ベクレムに言う。
「奴の根元のブレード部分を狙えないか? そこはきっと回転駆動の為に防御が出来ないと思うんだ……」
ベクレムはそれを聞くと背中のパーツを一部外して、浮かせて霊力で動くクナイの様な武器を出す。
「エッジビット展開射出!! 」
ビットのパーツ内部に霊力を貯蓄するコンデンサーの様な霊糸回路を組んで、ポルターガイストで浮かせて霊糸で遠隔操作攻撃するブレード攻撃ビットである。
一見強そうな見た目だが威力が今一つで、霊力が切れるとその場で使い物にならなくなる。
ミサイルや爆弾の方がよっぽど実用的である。
「エッジビットアタック!! 」
エッジビットがホルキオスの回転するブレードの根元に直撃、だが傷付く事なく霊力のエフェクトを出して弾かれる。
その結果にザジが反応する。
「やっぱりダメか、カンチョウのフォートレスをコピーされてるって話を聞いてるし、もうコイツ等に採用されてるって事はマズイな……」
「なるほどな、情報共有されているファントムドローンと言うことか、ディルムンでのプレイヤーとのスキル共有に似ているな」
ベクレムもその反応に意見を述べる。
発動したスキル(ハイ・ファントムフォートレス)に対してベクレムが問う。
「して、レジェンドよ、そのフォートレスと言うスキルについて聞かせてくれないか? 」
「ハイ・ファントム・フォートレス……対霊防御、霊力で貫通力の底上げするスキルの霊力を分解するんだ、全面のカバーが可能で純粋な物理には無意味、物理的攻撃には普通にバリアで防ぐしかない」
ザジの解説にベクレムはウンウンとプラモデルで頷いて、剣を構えた。
「なら許容を超えた一撃で突破あるのみ!! オーヴァードエッジの本領発揮である!! 」
「いや、確かにそれが良いんだろうけど……オーヴァードエッジを押し当てる間にあのブレードで薙ぎ払われるんだと思うんだ」
ザジが言う様に、長いボディをしているホルキオスにとって、ブレードを避けた後尾の部分を斬られても蜥蜴の尻尾切りであり。
いつでもその犠牲を諸ともせず 、騎士団達を薙ぎ払う準備がある。
そして……
「ケラウノス……発射!! 」
更にザジとベクレムに向けてディオスがケラウノスの電撃を撃ち込んでくる。
ホルキオスとの連携が取られ、ザジ達の足を止めてくる。
「あの飛行機の尾翼が人の形したみたいなファントムドローン、大きさが俺達と一回りしか違いがない」
「遊撃してくる上に、火力も有るとかキツいなあ……」
ザジが弱音を吐くと、ベクレムは何か考えたのか、ザジに問いかける。
「聞くがレジェンドよ、"霊糸斬り"は出来るか? 」
「出来るよ……最近霊糸を切る用途が多いから、それ専用の"技"も作った所だ」
「だけどあのドリルみたいな強大な霊糸攻撃に当てるには霊力規模が足りない」
ザジはつい最近新たに技を閃いたが、使用機会に恵まれない様子。
「よおおし、良いぞレジェンド……名案が有る」
「オーヴァードエッジ四天王、召集!! 」
ベクレムは騎士団達から四天王を召集、過去にザジが団子三兄弟+1にした彼ら面白集団である。
「ハッ!! 我等四天王!! 今ここに馳せ参じました!! 」
ここで現れた四体の軽装型ロボットプラモデル亡霊、それぞれが四天王と言える個性のちょっと違う姿をしている。
「四天王はレジェンドに付き従い大ミミズのファントムドローンを、私はあの羽根っぽいファントムドローンを抑える」
「行くぞ!! 」
こうしてファントムドローン討伐部隊が編成された、ここでザジは思う。
「え……ベクレム一人で大丈夫なの!!? 」
ザジには不安しかなかった。
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