第179話「集結!! 」


 ZPDディオスの攻撃宣言と共に、地下帝国の下層ディルムンフィールドの天井部分の一部が崩落する。

 地下帝国の通気孔とも言える部分からの侵入であり、大型のミミズの様な形状で先端に掘削ドリルを付けた地底先行型のZPDが侵入してきた。

 

 「ZPD05ホルキオス、01の援護を開始する……」

 

 古代ギリシャ、オリンピアのゼウスの別名を名乗るZPDは20メートルはある全長を振りかざし、地下帝国のディルムンフィールドを荒らし回る。

 

 「なんだコイツ!! ミミズみたいな形してて気持ち悪いな、何か意味あるのか?! 」

 

 ザジは様子を伺って居たのだが、二体のZPD相手に周囲の残存している防衛隊達で対応出来る可能性を怪しんだ。

 

 「レジェンドよ、ヤツの狙いはこの下層のフィールドにはない……」

 

 ザジの背後に現れた勇者的なロボットプラモデル、豪華な剣と獅子の胸部が特徴の合体で大きな図体をしている。

 

 「うわあ!! っ誰だよ! 」

 

 「私だ、ベクレム・ザ・キングオブエッジだ、久しいなレジェンドオブエッジ、あの感動の決戦以来だ……」

 

 ザジは真っ青な顔をしている、このシリアス雰囲気でトンでもないクソヤロウ(ベクレム)に出会ってしまったのである。

 ゲーム上の東軍陣営のトップが何故かここに居た。

 

 「こんなトコにいて良いのかよ! 本陣は? 」

 

 「もうこの襲撃時点でディルムンを維持する意味も有るまい、帝より襲撃の報告を受けた、我々も戦わねばなるまい……」

 

 ザジの突っ込みも諸と模せず、ベクレムは剣を掲げる。

 大きな大剣が霊力で光ると周囲に味方の亡霊プラモデル戦士達が終結する。

 

 「今、我々って……」

 

 思わずザジがベクレムの言葉に反応した所で、ZPDディオスが雷霆武装ケラウノスを発射する!

 

 「うわあ!! 何か撃ってきたぞ!! 」

 

 ケラウノスは初見であるザジだが、その霊力と雷の発動で十分に脅威だと認識出来る。

 そしてその奔流が迫ろうとした時!

 

 数多の剣を構えしプラモデル亡霊集団が、霊力を防御に使う為に剣を構え……

 

 「今こそ、その名を叫べ!! 」

 

 「「オーヴァード・エッジ!! 」」

 

 高らかにその技名を叫び、雷霆ケラウノスを受け止めては払ったのである!!

 この状況にザジは驚愕して居る。

 

 「まさか……」

 

 「ああ!! そのまさかだ!! 」

 

 戸惑うザジ、浮き足立つベクレムの声に賛同し、ZPDディオス、ホルキオスの前に伝説( ? )の騎士達が集結する!!

 

 「我等!! オーヴァードエッジ騎士団!! 」

 

 「「 ここに、推・参!! (ドーン) 」」

 

 世界を未曾有の惨劇に落とす可能性のある未来兵器ファントムドローンに対し、謎の面白プラモデル亡霊騎士団が喧嘩を売りにやってきたのである。

 

 「イヤイヤイヤ!! 戦いに来たのか自爆しに来たのわからない人達が来てどうするの!! 」

 「さっき電撃受け止めた人だって見てみろ! 二人位ボロボロになってるじゃないか!! 」

 

 ザジの言う通りである、ケラウノスの電撃は受け止めた剣士数名に対し、バリアを通り抜けたダメージを追わせてボロボロにしている。

 

 「そう言うなよザジ少年、みんな結構マジで戦いに参加してるんだからさ」

 

 新たに姿を表したのは量産機体ロボット一筋のプラモデル屋の店主、派手に追加パーツでゴツゴツになった量産機体のロボットプラモデルでの登場である。

 

 「大丈夫、大丈夫だ、ちょっとウェザリングが過激になっただけだそれよりも……」

 

 ダメージを受けた騎士団のメンバーが強がりを見せている、そして店主は彼等ZPD達の目的を語る。

 

 「コイツ等の目的は上層の帝国市内中枢の霊廟だよ、僕達のオリジナルボディを集めて地下帝国の礎になってる重要拠点だ」

 

 ザジは地下帝国の霊力供給構造を思い出す、この国の心臓部は正に死守すべき最大の急所だ。

 ザジ達キャンパーメンバーは霊廟には無関係でオリジナルボディも会社に置いている、フォッカー達は入院の為に病院に運び込んでいるので、焦る事はないが……

 

 「つまりそこを制圧されれば、僕らは人質を取られるのと変わらない、だからコイツ等はここで食い止めておくべきなんだ……キミは外来からの旅人だろ? 無理に付き合わなくても良いんだぞ? 」

 

 この地下帝国での生活で、ここでの付き合いも深く、このような事態はザジに取っては見過ごせない。

 ザジは店主に向かって言う。

 

 「戦うよ……こんなに一緒に遊んだりしてたら、逃げるわけにはいかないだろ」

 

 ベクレムはその言葉に笑い、剣を掲げて語る。

 

 「よし! 行くぞレジェンド! 我等"オーヴァードエッジ騎士団"の力を存分に振るう時だ! 」

 

 彼等の刃が光る、未来から来た殺人ファントムドローンを倒すべく、斬れる訳がない玩具の剣を振るい、護れる訳がないプラモデルの盾と鎧を輝かせ、凛前と敵に立ち向かっていくのだ!

 ザジは想う。

 

 「……」

 

 「いつの間にか"騎士団"に入れられている!! (ガビーン)」

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る