第145話「そうだねプロテインだね」
再び、ザジ達が会議を行う。
霊力を充満させたレストルームに、霊体のまま全員集合した。
「いや......本当に申し訳ない、次からはナンピンも取ろう(反省の色なし)」
会議はカンチョウの謝罪から始まる、一歩間違えれば大損害だった投資ギャンブルに対するモノである。
「投資の理念を見謝った、勇をきっと見失ったのだと思う......今思えば何故あんな所でエントリーを......ううっ! (デローン)」
ラマーはそう言うと再びFXで溶かした顔になっては、元に戻るを繰り返していた。
「ラマーに何があったの? いつも自信満々な表情がこんなにも溶けて......」
ザジが驚きを隠せない顔で見ているが、パルドはザジの肩に手を置いて語る。
「ラマーのテクニカルは地に堕ちたんだ、取引前はあんなに意気揚々だったのに......今では三分起きに顔が溶ける」
そのパルドの言葉は憐れみに満ちていた。
「まあとにかく報告をしよう、俺達の物資購入任務は済ませたぜ......」
フォッカーが珍しく普通に報告をまとめる。
どうやらリムジン回収後、ねぱたに殴られる前に行動していた様だ。
カンチョウがモニターに写し出されたリストを見る。
「うむ......キャンパーの燃料や矢弾の補充、備品や鋼材、我々が乗れる土台ドローン至るまで全て揃ったかね、十分な仕事だ」
続いてザジとドクも仕入れ報告する。
ザジが先に報告する。
「俺の予備ボディや、使い捨てボディなんかも揃えた、後......闘技場なんかも見学してきたよ」
「カンチョウのブロックもかなりの量を見繕った、フォートレスを使うには十分な量だ」
続いてドクが報告を言う。
会話の中に出てきた"フォートレス"はカンチョウの霊力スキルの事だ。
カンチョウのオリジナルボディ及びサブボディは、ブロックトイの人形である。
つまり戦闘するなら、当然ブロックで身を固めて戦える準備が必要となる。
「助かったよ、前回の戦いは持ち合わせの可能な限りでアーマーを構成してたのだよ、しかも爆発で焦げてまた使い物にならなくなってしまってね......」
忙しくブロックの整理をするため仕分け箱を準備するカンチョウ。
この地でのザジ達の目的の半分である補給は遂行したと思われる。
それを聞いたユナはある報告をしようと、皆に語り出す。
「今日メールで頭目さんから聞いたんですけど、実は巨大霊体関連での隔離病棟で、私の"肉体"を見つけてくれたそうなんです」
「 !! 」
その話に全員が驚き、耳を傾ける、それは自分達の目的の一つである。
"ユナの霊体を元の体に戻す"
という使命の最大の不安要素である、ユナの肉体の状態の情報が聞けたのである。
「マジで! まずユナちゃんの解放目的までの第一歩が踏み込めたんやん! やっぱ人脈って大事やな......でどないなん? 」
すかさずねぱたが反応する。
そして戻るべき肉体の様子がユナから語られた。
「寝たきりの状態で担ぎ込まれました、ですがそのままだと起きた時に筋肉が衰えて、リハビリが必要になるはずじゃないですか」
「だけどどうやら"それ"が違うみたいで......」
「 ? 」
長期の寝たきりになると思い不安だったユナだが、頭目が話す自身の肉体の様子に驚愕し、みんなに伝えるべく語り出した。
「私の本体は......毎日"夢遊病"で......筋トレしてるそうなんです! 」
「毎日病室で天井にぶら下がって懸垂したり、椅子を二つ並べて両足を乗せて股割りしたまま何時間も固定してたり、よくわからない仮想敵とシャドーボクシングでイメージバトルしてるんです! 」
困った顔のユナは起きた時を想像して語る。
「このままだと、起きた時にムキムキのバキバキになって、背中に顔が浮かぶ位のマッチョになってしまうかもしれないんです! 」
「......」
全員が沈黙。
ねぱたがその沈黙を破って言う。
「このまま待ってビルドアップが完遂するまで放置するんも、ええな」
「「 良くないですよー!! 」」
ユナの猛然とした抗議。
「睡眠学習ならぬ睡眠筋トレとか笑えないですよ! ウチの家族が監視が緩いのを良いことに、サンドバッグや砂突きの箱とか起き始めて......」
「頭目さんも悪乗りして点滴にプロテイン入れる様に要請してるんですよ! 」
「手際がええな......」
ねぱたが感じとる。
これは運命的な何かだと......
きっと彼女は起きたら地上最強の生物になってるに違いない。
必殺ブローも完成して、恐るべきワンパンガールが生まれる前兆である。
「良いわけ無いでしょー! きっと起きたら筋肉に侵食されてるんだ、きっとサイドチェストしてアブドミナルアンドサイするんだ! うあああん(泣) 」
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