第141話「大惨事オーヴァードエッジ大戦①」


 ......場面は闘技場にスポットを当てよう。

 

 「「 切り裂け! 俺達のオーヴァードエッジ!! 」」

 

 そう、世は正にオーヴァードエッジ戦国時代......

 

 「オーヴァードエッジ! (寄って集って棒で殴る)」

 

 群雄跋扈のコロシアムでは血で血を洗う残虐ファイトが行われており......

 

 「オーヴァードエッジ! (腕パーツが砕ける音)ウワー! 持ってかれたあああ!! 」

 

 第三スキルの実験場とも言えるその舞台は、自爆技とも言える膨大な霊力スキルを振るい。

 

 「オーヴァードエッジ!(同時発動) 」

 

 「オーヴァードエッジ! (仲良死)」

 

 互いに繰り出しては自滅し合うと言う、メタいスキルネタが延々と繰り返されていた。

 

 ......

 

 そして徐々に数が居なくなり、いよいよ決着が着こうとするその時。

 

 「レディース! &(アンド)! ジェントルメーン! 」

 

 突如、割り込んだ店主によるアナウンスで闘技が一時中断する。

 

 「では本日のメインイベントだ! 皆様お待ちかね! スペシャルゲスト!! 」

 

 「「 オオオオオオオオ!! 」」

 

 店主のアナウンスが会場を奮い立たせる、そのゲストが遂に闘技場に参戦するのだ!

 

 「「全ての始まり......今日、遂にこの大会にあの伝説が現れる!! 」」

 

 口上の効いたセレモニーと共に、霊糸プリンターが出力され......

 新たに闘技場に殺戮者めいたエントリーをするグラディエーターがスタンバイしていた! 

 

 「ザジ・THE(ザ)・レジェンド・オブ・オーヴァードエッジ!! 」

 

 「「 "始まりの剣士"の登場だーッ!! 」」

 

 ゲートが開くと、そこにはメカクレ美少女プラモデルが剣を構えていた。

 中身の亡霊(ザジ)は余りの恥ずかしさに我を忘れ、大いに怒りて曰(いわ)く......

 

 「ちくしょおおおお! お前ら全員ぶった斬ってやるうう!! (錯乱暴走中) 」

 

 最早自身のキャラすら忘れたザジが、闘技場に乱入したのである。

 

 「「 主催者の馬鹿は何処(どこ)だあああ!!! 」」

 

 余りの恥ずかしさに店主に身の上を明かしたザジ、あのオーヴァードエッジ動画の剣士は......間違いなく自分であると確信した上での告白である。

 

 だが本来ブッタ斬るべき相手は、目の前に居る店主なのだが......

 ザジの事を知った仕掛人の主催者が別に居て、しかもゲームに参加していると言うので、居ても居られなくなったザジが飛び居る事になったのだ。

 

 「ちょ......ザジ、何してんの? 」

 

 ボディの購入決済から帰ってきたドクが驚く。

 温厚なザジが"喧嘩を売りにいく"と言う異常な行動に、内心興味が隠せない。

 

 「誰か大人の考えをする人を呼ばないと、こんな面白い事! 俺が独り占めするには応対(ツッコミ)が寂し過ぎる! 」

 

 メチャクチャ喜ぶドク、何よりもザジに美少女プラモデルのボディを与えて、オモチャにしている男の発言である。

 

 「ほほう......これはお初に御目にかかる......」

 

 闘技場には大きく目立った主役系プラモデルのボディの剣士が、ザジの前に立ち紳士の応対をし始めた。

 

 「私が今大会の主催を努める、名をベクレムと言う!」

 「そして、又の名を......王の刃、キング・オブ・エッジ!!! (ドン! ) 」

 

 「「 勝手に上位互換を造るなー!! 」」

 

 独り歩きで暴走するザジの中二病(オーヴァードエッジ)。

 主催者ベクレムの又名「キング・オブ・エッジ」に憤怒のツッコミを入れるザジ、最早ブッタ斬る満々である。

 

 「......オーヴァード・エッジ(ボソッ)」

 

 無言に近い細い声で、ザジがオーヴァードエッジを起動させる、憎しみに燃えて赤い色(殺意の色)をしていた。

 

 だが......そんなザジ(見た目メカクレ美少女プラモデル)の前に、四人の戦士が立ちはだかる!

 

 「ベクレムと戦う前に! 」

 

 「この我等......」

 

 「オーヴァードエッジ四天王と!! 」

 

 「戦ってもら......!! (グサッ)」

 

 名乗り上げの最中......瞬く間に、四天王の三人は団子三○弟の如く串刺しになり。

 残りの四天王の独りは......

 

 「馬鹿め......俺こそが四天王の中でも最弱......面汚しよ!! 」

 

 「言いたいことはそれだけかッ!! ......(振るわれる無情の一太刀)」

 

 四天王最後の一人は決め台詞を吐き捨た後、ザジに......まるで対馬が舞台のゲームの雑魚蒙古の如く無惨に切り払われた。

 

 「霊糸ボディを壊しても霊体は無傷と解ったら凄く容赦ないな! だがそれこそレジェンド! 」

 「 その意気やヨシ! 」

 

 「......」

 

 ザジはその様子にマジギレの代名詞「 !? 」を顔の横に浮かばせて、スーパー対馬人の様な形相の顔をしながら......

 

 メカクレ美少女プラモデルの背後で、ベクレムを睨み付けていた。

 

 

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