第142話「大惨事オーヴァードエッジ大戦②完結編」
対峙するザジにベクレムが動く。
「これが俺の全力の"オーヴァードエッジ"......」
主役系ロボットプラモデルのボディが、ゴテゴテした形状の大剣を構えると......そのまま剣が伸びる様に刀身を変形させて霊体から強烈な霊力を引き出した。
「今こそ見せよう! メガファントム......!! (ドン)」
......第三スキル、そのボディも耐えられる可能性が薄い程の霊力を剣に走らせる大技。
主役系ロボットのプラモデルボディは、霊力スキルの起動に合わせ......
「「 キング・オブ・エッジ!!! (どこからともなく聞こえる処刑用BGM) 」」
フェイスオープンした主役系ロボット顔に、無駄に装甲が可変して光を放ち、以下にも最後の一撃らしい演出が作り込まれていた。
思わずザジが反応する。
「「 その以下にも斬った相手を一旦時間置いてから爆散させて、ポージング決めてから一件落着! みたいな演出効果の霊力スキルは止(や)めろー!!! (めっちゃ早口ツッコミ)」」
そんな稲妻の様なツッコミ中のザジに、突如救援の声が響き渡る!
「ザジ! 遅れてすまない! メカクレ美少女プラモデル用の騎士アーマーパーツだ! 」
何故かドクの装甲強化支援物資が届く。
そして思わず呆れ顔のザジから言葉が漏れる。
「このボディにそんなアーマーパーツ、あったんだ......」
そして以下にもアングルがグルリと回りながら放電エフェクトを起こしつつ、自動装着する。
そして、やけに高い装着ポーズ音が鳴り響いた。
ザジが装甲を着けてからの一言。
「ボディの形状が何時(いつ)になく重さを感じる......」
ドクは変形ロボットトイのままザジのセコンドに立つと同時に、以下にも"大人のツッコミ"が出来そうな面子を連れてきたようだ。
......何処からか聞いた声が聞こえてくる。
「あー! 本当だ!! ザジ君が戦ってる! 」
現れたのはユナとねぱた、フォッカーとよしこといった"買い物組"である。
ファッカーは闘技場の説明を聞き驚く。
「霊糸プリンターで作ったボディって、マジで実用化してたのかよ......」
こうして大人のツッコミの出来る(?)面子が揃った。
「ホンマや、ザジがごっつい見た目の趣味丸出しのボディで戦ってるやん、ナニあれ? 」
霊体投影ボディのポニーテールがなびく姿がとても映える、そんなねぱたが注目するザジのボディ。
メカクレスク水美少女騎士プラモデルと言う、キャラクター性による組体操。
それは......余りにも盛りすぎた 属 性 の 重 量 過 多。
その姿は、ザジのアーマー装着を律儀に剣を構えたまま待っていたベクレムも動揺させる。
「まさか......オーヴァードエッジの本質とは、属性をオーヴァード(過剰)させる事にあったのか......」
「「 ちげーよ!! 」」
ザジの思わず飛び出したツッコミ、だが彼(ベクレム)はその"見えぬ属性のオーラ"を受けて......
アーマーパーツが弾けとんだ!
「くっ......なんと言う属性のショックウェーブ!! 危うく装甲が溶解するところだった! 」
「「 なんでだよ!! 」」
ザジのキレッキレのツッコミの後、遂にベクレムは必殺剣を振り下ろす機会に巡り会う。
「待たせたな! 今こそ受けよ! この王の刃を! 」
「超☆ギガファントム!! (ドン)」
「「 キング・オブ・エッジ!! 」」
「「 若干名前を盛るんじゃなーい!! 」」
ザジの快速ツッコミにも負けず、キングオブエッジはザジに目掛けて振り下ろされる!
慌ててザジもオーヴァードエッジを再起動、「受け」で食い止めると言う形で斬り結んだ!
激しいスキルパワーの衝撃が霊力の波を形成する。
「うわっ......! 」
キングオブエッジのパワーは強大である、名前を盛るだけあって自爆覚悟の第三スキルは強力にザジのオーヴァードエッジを押し返すのだ!
そしてベクレムは語りかけて来る。
「どうしたのかね? 押されて居るぞ! さしものレジェンドオブエッジも所詮はハイファントムスキル! 」
「究極のスキルの領域であるテラファントムスキルの前には、成す統べなく砕け散る運命に有るのだ! 」
「更に名前を盛るんじゃなーい!! 」
押されながらも鋭いツッコミのザジ、だがツッコミの勢いは激しくともオーヴァードエッジは押されて勢いが無くなっていく。
「ちょちょちょッ......まッ」
腕相撲で急に全体重掛けてきた様な相手に困り果てるザジ、思わず小技で退けようと抵抗をする。
「リエッジ! 」
「リエッジ! 」
「リエッジ! 」
「リエッジ! 」
「リエッ......! 」
ここでザジの使う"リエッジ"とは本来はオーヴァードエッジの研ぎ直しに使う霊力スキルであり、放出拡散した霊力の再利用で勢いを維持するサブスキルである。
これは本来オーヴァードエッジが一撃必殺技ではなく、あくまで剣に過剰にバフを掛けるスキルであると言う特性から生まれた「隠し技」で、セットで使う事で性能を継続し続ける代物だ。
......だがここで奇跡が起こった。
「何だと! キングオブエッジが......私の王の刃が......」
「「 押されているだと!! 」」
以下にもゴゴゴゴゴゴゴと音を立て、キングオブエッジがどんどん力負けをしていくのだ!
ベクレムが焦る!
「何故だ! ハイファントムスキルごときに、何ゆえこのような霊力が......ハッ!? 」
「まさか......そんな......そんなことが!! 」
解っているようで解ってない様な台詞を並べるベクレム。
対してザジも自身のオーヴァードエッジに起こっていた大異変に困惑する。
「「 なんじゃこりゃあああああ!! 」」
ザジでも理解不能なオーヴァードエッジの大異変。
変化したオーヴァードエッジは一回り二回りの大きさを持っていた。
「「レジェンドよ! 貴様一体何をしたあああ!! 」」
「「 知るかー!! 」」
結局解ってなかったベクレムは、急に全能キャラが品が無くなって芸人に転向するような......強キャラメッキが秒で剥がれる台詞(セリフ)を吐くと......
ボディに亀裂が走り、膨大な霊力スキルを発動したツケとして主役系プラモデルボディ全体の崩壊が起き始める。
......だが!
「「ククク、まだ勝ったと思うなよ! 私には奥の手が有るのだ! 」」
ベクレムがそう言ったとたんに、ボディの亀裂が縫い止められる様に霊糸で繋ぎ合わされ......
"一度きりの復活スキル"として発動し。
ボロボロの主役ロボット特有の最後の謎パワーを演出しながら、再びザジに剣を向けたのである!
ザジはその復活スキルにツッコミを入れる。
「ずるくない?! その技、こんな霊力で満たされたフィールドじゃないと出来ない仮想型スキルだろ!? 」
「リアル(外)で出来ないモノをホイホイ使いやがって......」
「勝てば良いのだよ、ここでしか使えない技はこれだけではないぞ! 」
荒ぶるザジのツッコミを返してベクレムは、手を上空に掲げると
......まるで手品の如く、今まで持っていた剣が無くなっている事にザジが気付いた。
「奴の剣が無くなっている? 一体何処に?! ......ハッ!! 」
ザジが上空を見上げると、そこには宙に浮かぶ無数の影!
なんかどっかの漫画で見た様な見開きのページ丸々使った、強ボスの絶望的な大技を見るような
......天空を浮かぶ無数のオーヴァードエッジが、ベクレムの頭上に現れたのだ!
ベクレムは全能感溢れる光悦の表情で微笑み、煽り構図のニヤリ顔で語る。
「そう......これがキングオブエッジの究極形態......」
「「 千の刃!! "サウザンド・エッジ"!! (絶望的効果音) 」」
「「 いや......どう見ても作画の都合上、見た目30本位しかない奴だろー!! 」」
だがよくわからないモノであっても第三スキルの威力はしっかり存在し、究極と言わんがばかりの威厳を誇り。
剣が雨あられの如く降り注ぎ、ザジのメカクレスクミズ美少女騎士プラモデルボディを破壊しようと襲いかかる!
「くっ......! またリエッジしないと......こんなの少しでも回避出来なかったら......」
このスキルは仮想的な霊力スキル、本来なら発動すらしない。
だがそれらが半分以下、"まやかし"だったとしても、"攻撃性"が存在する。
「さあ......踊れ踊れ、降り注ぐ千の刃! 全てを貫け! オーヴァードエッジの頂(いただき)に至る今この瞬間(とき)を! 」
「ちょ......なんだこの技、めんどくさい! 」
必死になって回避するザジ。
この大技は弾くタイミングをずらされたり、フェイクを仕込んだりとあしらってくるのだ。
遂に追い詰めたと言わんばかりの顔でベクレムが語る。
「ククク......さあトドメだ! レジェンド!! 」
「くそ、勢いが足りない! もう一度リエッジしないと......やられる!! 」
ザジが怯む、余裕を失っている、成すすべ無し。
そして今、再び強大な剣の雨が襲いかかろうとしている最中。
再びザジのオーヴァードエッジが、異変を起こそうとしていた。
「 !! 」
豪快な音が響く、ザジがリエッジで再び研ぎ直しをするために拡散した霊力を回収し始めたその時......
周囲の膨大な霊力を吸い上げて"果てしなく巨大化"したのだ!
......剣と言うには余りにも大きすぎた。
それは正にオーヴァードエッジの塊だった。
「えええええええええ!! また!? 何がどうなってんの?! 」
襲いかかる千の刃が、リエッジで巨大化したオーヴァードエッジに凪ぎ払われる!
ベクレムが驚愕する!
「うおおおお! ば、馬鹿な......」
その巨大な形状は無数の剣が枝分かれしてくっついて樹になっているようである!
それを見たベクレムは、遂に"真意"を見いだしたのか淡々と語り出した。
「そうか......そう言うことか! その剣は正にオーヴァードエッジの最終到達点、つまりはゴッドエッジ!! (確信)」
「この大会はオーヴァードエッジによるオーヴァードエッジの為のコロッセオ、フィールドには倒れた無数のオーヴァードエッジ戦士達の心が! レジェンドの使うリエッジによって集い束ねられ......」
「遂には"三千世界の剣"となって! この世に顕現したのか!!(超理論) 」
「「 ワケわからんわー!!(ドコォ!! ) 」」
ザジのツッコミと共に巨大な剣の塊という何かが振り下ろされ、それらは雪崩れに襲われた遭難者の様にベクレムを押し潰したのである!
「 ぐああああああああ!!(プチッ) 」
「えええ(ドン引き)......どうしてこうなった」
まさかの結末にザジも呆然である。
そして無数のオーヴァードエッジの山が出来上がり、最後にキングオブエッジの一部が頂上に突き刺さる......
剣にはこう記されていた
"......キングオブエッジここに眠る"
「最後にやりたい放題して負けやがった......」
ザジがドッと疲れた顔で呆れかえっていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます