第130話「激突! 方舟VS方舟! (前編)」
「ギョエエエエエエエ!! 」
頭を横に傾けた鳥の巨大霊体が叫ぶ、長くペリカンの様に伸びたクチバシは、ハサミが開いた様に開き上向きに掲げ。
電撃が走り空間が歪む様に見える程、ほとぼしる電流がプラズマを加速しようと稲光を放ち、再びクチバシを縦に直すと......
まるで砲身の様にクチバシが変化し、キャンパーに向けられている!
「キャンパー前面にバリア集中展開! 攻撃に備えろ! 」
カンチョウが宣言(オーダー)する!
キャンパーの霊力が解放された為、蒼白い炎がキャンパーを纏い。
内部照明も消し、蒼白い霊力の光が灯される。
更に宣言(オーダー)が追加で乗せられる。
「突撃形態! 体当たり(アタック)モード!! 」
キャンパーでは前方にバリアを多重に展開するための準備が成され、内部では物理的に防御するための形態変化が進んでいた。
「ウインドウシールド展開、キャノンは収納、内部隔壁閉鎖! 」
ユナが防御装置の霊糸回路を叩く。
窓には物理的な防御板が張られ、上部砲塔郡は収納され、ダメージでの霊力漏れを防ぐ為、内部の隔壁を閉鎖する。
「さっきより結界の風の勢いが強大になっている、溜めてる間は近付けないってか......」
フォッカーはここぞとばかりに側面からの強襲を模索していたが、結界の風は「風避け」の効果が薄く、亡霊単体で飛ぶには難しい。
様子を見るしかない事に、やきもきしている様だ。
......だが
ここで、ふと風が止まった。
「!?」
全員がはっと気がつく、それは正に嵐の前の静けさ。
ピリピリと空気が震え、今からやって来る"ソレ"を物語る......そう、プラズマの発射だ!
「「 来 る ぞ ! ! 」」
一瞬、時間が止まったかのような空間の波が周囲に広がると、トンネルの結界が消滅。
キャンパーは結界から解放される様な状態になったかと思えば......
ザジ達の視界は......プラズマの光で真っ白になったのだ!
鳥の巨大霊体の閉じたクチバシから爆光が発せられ、砲身の様な先端からはプラズマの奔流が一筋の光線となり。
甲高い金切り音を立てて......
キャンパーのバリアに突き刺さり、掘り進めようと激しく削るのだ!
「 !! 」
その威力はキャンパーの内部を激しく軋み、ガタガタと車内の内装を揺らしていた!
「うおおおお!! 」
建物が地震の被害を受けた様な衝撃が、司令室内のカンチョウやラマーを恐怖させる。
そしてオペレーターのユナが二依子のサポートを受けながら、ダメージの報告を艦内に広める為にアラームを鳴らす!
警報ブザーと共に照明が赤く変化する!
「艦内温度上昇! 40度! 外は100度を遥かに超えて、外装が燃焼・融解してます! 」
プラズマの光線自体はバリアに防がれているが、拡散したプラズマがキャンパーの外装を激しく焼き尽くしている。
そして更に恐怖は止まることを知らず、プラズマの光線は照射時間が今だ終らず。
その勢いは突撃してきたキャンパーを徐々に押し始めているのだ!!
「なんと言うことだ! バリアの防衛力はビームの照射に耐えれても、このキャンパー自体の突進力が足りていないとは!! 」
完全に移動停止状態になったキャンパーはズルズルと後退を始める、ビームの勢いが激しくキャンパーを押し始め。
相対距離は十メートル二十メートルと離れていく。
「艦内温度、五十度! 上部甲板一部融解! 」
ユナのダメージアナウンス、キャンパーは冷却の為、サイドパネルを展開させた。
「冷却回路起動開始! 艦内温度低下! でも......あまり持ちません! 」
熱を拡散するため、霊糸回路を操作するユナ。
上がった内部空気が放出されたが一長一短で、冷却は気休めに止まる。
「......! 」
そしてビームの照射が終了する頃には、約五十メートルの相対距離を離されていたのである!
「パルド君! バリアの状態の報告を頼む! ラマー君! 起動回路の損壊はどのくらいかね! 」
カンチョウの要請が飛ぶ、間も無くしてパルドの報告が入る。
「バリアの状態は健在だ! 一旦アイドリング状態で停止させた! 回路の方はどうなんだ! 」
「こちらラマー! 回路の半分は崩壊した! 二回目は厳しいぞ! 手動で霊力バリアを全員の力で張らないと......持たない! 」
ラマーの報告は、二度目のビームに耐えられ無い回路状況を示している。
回路が崩壊した場合、クルー全員がオリジナルボディに入り、キャンパーのバリアを手動で形成しなければならない。
これはキャンパーの蓄積霊力と、クルーのそれぞれのオリジナルボディの霊力での合わせ技を使う事を意味する。
「ウチらはレストルームのオリジナルボディに入って、回路が崩壊したら自らの霊力でキャンパーのバリアを支援するわ」
ねぱたとドクが、オリジナルボディの入った箱への憑依を開始。
続いてザジもボロボロだが、騎士ロボットプラモデルのオリジナルボディに憑依して準備を開始する。
「俺も準備しないとな、よしこ......頼むぜ」
「ワン! (わかりました)」
フォッカーもオリジナルボディの入った箱に入る、よしこはユナの補助の為に司令室内に止まる。
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