第131話「激突! 方舟VS方舟! (中編)」
手動バリアの為の準備が整う。
クルー全員がオリジナルボディの憑依状態で待機、キャンパーの自動運転システムをユナと二依子が手綱を握る。
「しかし、奴はこれだけのプラズマを発射した訳なのだから、次は撃てないと思われるのだが、どうかね? 」
カンチョウがオリジナルボディであるブロックトイ人形で、語りかける。
しかし現実は非情の様で、鳥の巨大霊体は膨大な電力を放出しており、以下にもまだ撃てる様子を見せつけている。
「うえっ! どうなってんの? 電気を霊力で作ってるだけやったら、もっと疲弊するやろ! おかしない!? 」
ねぱたもオリジナルボディの特撮トイ人形で、鳥の巨大霊体の様子に反応する。
「鶏が先か卵が先か......どのみちプラズマを加熱させて、加速発射とか、全ての工程で霊力のバカ食いが必死のはずだ! つまり......」
ラマーが、オリジナルボディの超合金合体トイの乗組員人形に憑依して語る。
「なんだよ......どっかに発電機でもあるってか、以前にも船でプラズマビームをバンバン撃ってたけどよ......」
フォッカーがオリジナルボディである、四足獣ロボットの電動トイに憑依して言う。
「可能性があるならそこが弱点なんだがな、発電機自体が種になっているとしても全て賄(まかな)えん。そして霊力で増幅するには割りに合わない消費が発生する、奴の霊力は底なしでは有るまいな? 」
同じくドクが、オリジナルボディの変形ロボットアメトイに憑依して考察する。
「アイツはかなりたくさんの霊力を食った大きい霊体だ......けど霊力は決して無限じゃない、だから......何か秘密が有るのかも」
ザジがオリジナルボディに憑依、騎士ロボットプラモデルに移って反論する。
「なんだよ、それじゃあ霊力を大きくロスしない位の発電力がアイツにあって、あそこまで霊体が巨大化出来た理由がそこにあるみたいな感じじゃねえか......大きさ的にそんな発電機なんて存在する訳......」
探査ロボットのオリジナルボディに憑依したパルドが言う。
しかしここでパルドのオリジナルボディの機能が"何か"を探知していた。
「え?......あれ? 」
「何かねパルド君、どうしたのかね? 」
パルドの様子にカンチョウが訪ねる。
パルドが息を飲んで言う......
「なんだ! 探査ロボットの備え付けの"ガイガーカウンター"が動いてる! この......やたら大きな"放射線"の数値は......なんだ!? しかも周囲の熱もエライ事になってるぞ! 」
これを聞いた全てのクルーとユナと二依子が......固まった。
「......」
「何かね? つまりアレだ!......"核融合"でも起こしてると言うのかね! ははは......まさか冗談キツイよ! 」
カンチョウの素直な感想は、クルー全員の"代弁"に変わっていた。
「ちょっと! カンチョウ、なに言ってんねん、霊力(ポルターガイスト)でやる事やから......大体は"モドキ"とちゃう? つまりは霊力で擬似的に核......って同じやないかーい! 」
動揺しているねぱたの一人ツッコミ、自分でやっておいて動揺が隠せない。
「事実だとしたら尚の事、人里に近付ける訳には行かないな」
ザジは一歩前に出た結論を言う、単純な考えだが打倒する必要性が出てくる。
「えええええ! 放射能とか大丈夫ですか? ここら一帯が草も生えない土地になるとか笑えませんよ! 」
ユナの声はヌイグルミに憑依しているとは言え人間として当然の心配だ、自然界に置いておくものではないのだから。
「核融合を擬似的に起こしてるとしてなら水爆のように、種に核分裂を必要としてないかもしれない」
「霊力で水素ガスを一億度まで加熱出来たというのなら別だが......霊力で重水素を温度関係なく強制的に結合......出来るのか? 」
ドクが冷静な解析、考察を走らせる、だがその暇もなく鳥の巨大霊体は再びプラズマビームの発射体制に入ろうと......
クチバシを広げている!
「核融合とは言ったがそこまで真に受けないでくれたまえ! でもガチでそんな気がしてきたじゃないか! 」
迎撃準備しながらカンチョウが突っ込む、霊糸回路が稼働し、再びキャンパーのバリア準備が成される。
「とにかくだ! 奴の体の何処(どこ)かにトンでもないエネルギー源があって、直接的に破壊する必要性があるわけだ! 」
「だが今は防戦一方で手も足も出ないぞ! どうする! 」
フォッカーの焦る声が響く。
「解析の結果だが今、他の弱点もハッキリした、発電機停止作戦の立案をしよう......」
ここでラマーが作戦提案をする。
決死の策略が立てられたのだ、クルー全員が聞き入る。
「大規模な発電能力があると仮定しよう......だが電力はそのまま使うと強すぎる」
「つまり"変圧器"が必要なんだ、発電しているポイントの近くに必ずある......弱点だ」
ねぱたがそれを聞いて言う。
「でも、それを叩くんやから懐に入らんとアカンやん、どないするん? 」
ザジはそこで、過去のシラ達のプラズマ攻撃を思い出す。
「ビームが飛んできてた時に、シラ達がどうやってビームを発射してたか思い出したよ......射線ガイドの霊糸をまっすぐ飛ばしてプラズマが蔦って飛ぶんだ。」
ザジの記憶を聞いて、カンチョウが作戦をまとめ上げる。
「誰かがバリアで食い止めてる内に、プラズマの先導霊糸を切るのかね!」
「一時的に回避出来るかもしれないな......採用しよう、だがやれる人材が限られる、困ったなこれは......」
カンチョウの言葉通り、こなせるとすれば、ボディを失うダメージを受けても影響のない者が必要となる。
だが霊糸を切る者以外にも、懐に入ったら変圧器を強襲する必要が在るので、人数が足りないのだ。
手の空いたよしこでも二役は出来ない、ユナではボディがプラズマで焼けてしまう。
そんな中、以外な声が聞こえてきたのである。
「私......やるよ! 」
そう発言したのは、中継の向こうの......二依子である。
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