第113話「星の殻」
しかし、状況は一変する!
「 ! 」
遥か八万メートルという高高度の天空から、≪黒騎士(ブラックナイト)衛星(サテライト)≫より赤い光が照射されたのだ!
「なんだよ! これは! 」
慌てるフォッカー、衛星から照射された赤い光はとても大きいモノで、この場にいる全員が立つ舟の霊体、その全域を赤い光で埋め尽くす。
そして間も無く、二依子の霊体を封じ込めたサーバーに応答があるのか、半球状のドームが開いて何か細長い棒状のものが現れた。
......それは槍にも見えるアンテナである。
「フォッカー! あの先に付いてるのはまさか! 」
ボロボロのザジは、アンテナの先端に何か有るのを確認する。
先端にあるのは真空管の様なもの、だがそこにザジ達の目的があった!
「 二依子......! 」
真空管の様な部品の中に二依子の霊体が圧縮されて光を放っていた。
アンテナはソレを先端に、天空に掲げる装置......
今、"鍵"と呼ばれるモノが其処に現れたのである!
「鍵が出てきても"扉"が出て無きゃ意味はない! フォッカー! 装置を破壊出来るか? 」
ザジが装置の破壊を懇願した、フォッカーが残しておいた余力を解放して救出する。
「ああ! 任せとけ! 銃弾がまだ残ってる、あのアンテナの先に当てて二依子ちゃんの霊体を解放するぞ! 」
フォッカーが狙いを定めようとドローンから銃身を出して狙撃の準備すると......
黒騎士(ブラックナイト)衛星(サテライト)から照らされた赤い光は......
上空の"何もない空間"に何やら巨大な模様を描いて光を収束すると、アンテナを導く様に光で結んだ!
「大きい......もしかしてあれが"扉"? 」
その様子を見ていた飛行船ドローンにいるユナとパルドは、上空に浮かぶ模様を凝視いていた。
「 !? 」
ふとザジは何かを感じ取る......
写し出された巨大な"扉"は、何かをするためのモノではないか? ......
そして槍(鍵)の様なアンテナは......
以下にも「ここに突き立てろ!」と言わんばかりではないか?
ザジだけではない。
その場にいる他の仲間も、急遽「途方もない危険」を感じとる。
(写し出された模様の扉の部分に、何かとんでもなく厚い壁の様な、天蓋の様な......)
(とにかく破っちゃいけない"見えない殻"みたいな何かが......)
(これは......物凄い分厚い......)
(......この地球の...... 風 避 け (バリア)!! )
はっと驚愕するザジの横でフォッカーが、止まった時間を動かす様に行動する!
「はっ......! 扉か何だか知らねえが......これで終わりだよ!! 」
フォッカーのドローンから二ミリの銃弾が発射される!
標的はアンテナの先端、二依子の霊体が入っている真空管だ!
「 ! 」
......だが、銃弾は命中することなく、弾かれる様にして反れる。
「んなあ! あのアンテナ、二依子ちゃんの霊力をバリアにして変換する"ボディもどき"かよ! 」
ボディもどきという表現をフォッカーが使っているが、正にアンテナをボディに誤認させて霊力を使わせる装置である。
「クソッ! 今すぐバリアを破れる霊力が必要なのに! 」
ボロボロのザジがプラモデルのボディを軋みながら、悔しがる様に上空を見上げる。
「シラは鼻っから俺の霊力の消耗が目的だったんだ! 時間稼ぎも完璧じゃないか! ......クソッ! 」
ザジが悔しがる程にシラの術中がピッタリ嵌まる。
......ニヤリ
そう......全て計算ずくだ、そう言いたげなシラ本人は、崩壊し活動停止しているボディで笑っている様にも取れる。
しかし......
シラのは知らない。
今ここに、希望があった!
希望の星、期待のホープ......
「ユナあああああ! 頼んだあああ! 」
ザジが要請(オーダー)する、自分達キャンパーメンバーの最後の懐刀が今、抜き放たれる!
「ジェットパック装着! カタパルト展開! 」
飛行船ドローンのカタパルトがアンテナに向けられる!
「パワー十分! 行け! ユナちゃん、希望を見せろ!! 」
そう......彼女(クマ)にかかれば、強硬なバリアもお茶の子サイサイ!
フルパワーの退魔霊力が、ユナの体内の札から放出される!
「二依子おおおおお! 」
「マイ! フレンドおおおおお! 」
絶望のザジ達の上空を、今救いの天使(クマ)が、背中にロケットを付けて......遂に発進!
真空管の二依子に目掛けてキリモミ回転しながら、突撃を慣行する!
「私の霊力! 温存しといて! 良かったあああああああ!! 」
この切り札の存在は、教団亡霊達の度肝を抜いた!
舟の霊体内で制御していた教団亡霊達、先に敗走して船内に入ったキョウシロウ、フォッカーにやられてボロボロで見ているしかないポリマー......
そして気力だけでボディに留まっていたシラさえも......
......ユナ(クマ)の存在に驚愕していたのである。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます