K博士のロボット

 またK博士に呼び出されたAは不満げだ。ソファーに座り言う。

「今日は何ですか」

「おお、来てくれたか。これを見てくれ」

対して、K博士は機嫌が良い。手には光る直方体。メタリックだ。大きさは各辺が50㎝、30㎝、10㎝といったところか。

「もう何でも良いです」

Aのその発言を肯定と受け取ったK博士は説明を始めた。

「この前人工知能を作っただろう」

「ああ、あのポンコツですか」

「あれは設問が悪かっただけだ。ポンコツじゃない」

博士の反論をAは聞いているのか聞いていないのか。Aが言う前に博士はまた話し始める。

「それでだ。このロボットに人工知能を搭載してみた」

「へぇ、そうなんですか。それで、何が出来るんです?」

Aは適当に返す。

「これに搭載したバージョンの人工知能は増殖思考を備えているんだ。ロボットに部品を与えると……」

そう言い、博士は机にロボットを置く。そして、奥から部品となるねじやフレーム、メモリなどを持ってきた。そしてロボットを起動。

 直方体の機体から足が四本生える。そして、上部に頭が出た。Aは立ち上がり、ロボットを見る。ロボットの頭から触覚のように二本の細いアームが伸びた。それらが部品を持ち、組み立て始める。Aと博士はそれを熱心に見ていた。

 三十分後。相変わらずロボットは組み立て続けている。完成にはほど遠く、まだまだ時間がかかりそうだった。飽きてきたAが博士に言う。

「これ、いつまでかかるんですか?」

「うーん、あと一時間半くらいかな」

「これ、何の役に経つんですか」

「機械が自己増殖出来たら二次産業にかかる手間が減るだろ」

「それはそうですね。で、その実証をこのロボットでやる必要はあるんですか?」

「それは無いね。このロボット、可愛いだろ?」

Aは機嫌を悪くして言う。

「じゃあ、今日はこの辺で。今度はもっと実用的な機械でやってください」

「えぇー、待ってくれよ。せめて一台出来るまででいいから」

「二台目以降も見せる気だったのか!」

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