本書について

 本書は三つの部分から構成される。すでにここまででそのほとんどが終わった「前書き」と、ラテン語写本第一七〇四番を実際に校訂、活字化した「第二問題」、そして「第二問題」の内容に関して私が付した「註釈」である。「註釈」は、特に中世哲学の議論に馴染みのない人々も本書を、前から順に通読することができるよう、可能な限り詳しく、議論を補うようにし、背景知識なども過剰にならない程度に盛り込んだ。

 註釈は翻訳の方に付したアルファベットに基づいて配置される。翻訳を読んでいて註釈の参照を促すアルファベットにぶつかったときに、適宜「註釈」を参照していただく、というような読み方を意図している。可能な限り、一つの註釈を読めばそこの議論が十全に理解できるように記述することをこころがけ、極力他の註釈に対して相互的な参照を行わないようにした。それゆえときには、あちこちで内容的に重複した記述が見られることになるかもしれない。


 この小著が彼の魂を慰めんことを。

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