第6話Regrets - 未練
6.
"知らなかった夫の顔6"
== 樋口眞奈 ==
結局私はうじうじと独りで悩むことしか出来ず、半年が過ぎようと
している。そしてはっきりと夫が身体の浮気をしているという証拠を
掴むこともできずにいる。
興信所などに依頼するとはっきりするのかもしれないがまだそこまでの
勇気もなく、グタグタで半年が経過してしまったのだ。
ただ判っていることがひとつだけあった。また最近夫が不携帯で近所の
書店に出かけたことがあり、スマホを覗くチャンスがあったのだが
悲しいことにやはり夫はそれぞれの女性たちと相変わらずの交流をしていた。
もし今回スマホを見て、夫が彼女たちとの交流を止めてくれていたら
私はこのまま黙って、少しの悲しみや苦しみは自分の胸の中に収めて
夫と最初の予定通り共に白髪になるまで添い遂げることができたかも
しれない。
けれど、見てしまった彼らの遊びに、ヘタレなだけのメンタルの弱い
私はまたまた途方に暮れ、そのうちに弱腰な思考へとシフトダウンさせて
しまいそうになったのだった。
病気の時はもちろんのこと、普段もいつだって私にやさしく接してくれて
私の両親にもやさしくしてくれる出来た夫なのだから・・彼が外で息抜きする
位の事を裏切りと捉えてそれを嫌がり苦悩する私は狭量なつまらない女なの
だろうかと。
そしてこのネガティブな思考は・・私が彼の奥さんを止めたら、やめたほうが
夫はそのほうが幸せなのかもしれないと考えるようになっていった。
どうしても自分の最愛の夫が、遊びといえども他所の女性たちと言葉を
交わし、もしかしたら身体の関係も持っているかもしれないという現実が
辛すぎて受け入れられず、ついつい私はそんな風な考え方に辿り着いたのかも
しれない。
-704-
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます