42. コロナのワクチン接種と
令和4年8月。新型コロナウイルスが猛威をふるっているこの現代。
つい先日、我が家もコロナウイルスに感染した。しかも、おそらく全員だ。
我が家の長男は、ワクチン接種を拒否し続けてきて現在に至る。
これまで、家族や事業所の方から何度もワクチン接種を勧めては、本人の機嫌を損ねるだけで終わっていた。
曰く、一番の理由は「副反応がこわい」とのこと。
その「こわい」については、こちらでも考察がなされた。
父親は、
「痛いのが嫌なのか。そんなの一瞬のことだ」
と言う。
妹であり、これまでも何度も話を聞いてきた身としては、父親の見解とは異なる考えがある。
副反応とは、どうなるのか個人それぞれで予測がつかないもの。いわゆる未知のものだ。
「自分の体に何がおこるのか、何もおこらないのかも分からない」
その、「分からない」から、嫌なのではないのかと、個人的には考える。
まあ、本人の気持ちなど、予想の範囲は超えられないのだが。
そんな最中に、ついに感染した。
回復後父は、今なら、とワクチン接種を勧めた。しかし、長男はそれには応じなかった。
そんな日から数日後。ひょんなことから、私は彼の本音らしきものを聞くことになったのだ。
どうやら、事業所のほうからもまた、ワクチン接種の話をされたようで。
おそらく、相手が父だったらチャンスとばかりに接種を勧めていただろう。
が、私は父親ではない。
「どう思う?」
そう聞くと。彼は唸った。これは初めての反応だ。
どうやら、彼にも「迷い」が生じているようだ。これは進展、と呼ぶべきか。
これまでは、誰が何を言おうが断固として「拒否」の姿勢であった。
そこに「迷い」が宿るなら、それ以上を今求めるのははばかられた。
きっと、相手が父であれば、もっと追い打ちをかけられるのだろう。気持ちをを急かされかねない。
なぜ、今のタイミングで妹相手に迷いを打ち明けたのか。
それはおそらく、これまで培ってきた信頼関係があるのでは、と個人的には考える。
長男相手には。
強制では生まれないものが多少ある。その点では、父相手には生まれないものもあるだろう。
とはいえ。こちらから何か言おうとしても、本人を前にすると思ったより強く言えない部分がある。
その「強く言えない」部分が、意外と功を奏しているらしい。
そして、迷っていることは大きな前進だ。彼にとっては、ちゃんと変化になっていると思いたい。
──ならいまのところは、本人の意思を尊重して、待ってみようかと。
そしておそらく今回の話は。
ただただ、話を聞いてほしかった。それに尽きるのだろう。
だから。
「そっかー……、そうだね。なら、いっぱい悩みな」
あくまでも、「共感」に留まる。
ここで答えを急くのは早急というものだ。
願わくば。長男本人の意思で、なにかを選択する日が来れば良い。
追記
この話は、まだワクチンの副反応が今より言われるより前の話でした。
あんまりにも兄が周囲から「ワクチン接種を!」と言われていた頃のこと。
今考えると。兄の「こわい」もその通りだと思います。
(結果的には、その後兄もワクチン接種をし、副反応も出ることなく今に至りますが、今なら拒否したい気持ちもわかります)
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