33. 補助犬の認知を コロナ禍の現状編

 あなたは、補助犬たちについてどれくらい知っていることがあるだろうか。

 今回は、前よりもっと彼らの「今」を見ていこう。

 同時に、補助を必要とする人たち全般を、知っていこうと思う。


 ひとによって。地域によって。行く場所によって。

 受け入れてくれるか、拒否されるのかは変わる。


 例えば、拒否される理由としては

「犬などの動物がだめ」

「他の人に迷惑がかかる」

「犬を店の外で待たせる、外の席の利用など条件を付けられた」

「受け入れの前例がない」

などが多いという。


 本来、補助犬は法律で、スーパーやコンビニ、飲食店などのへの入店や、電車やバス等に乗ることも、認められているのだが。

 対応するひとによって、あるいはその上司によって。

 上記のような対応をされることもあるという。

 もちろん、なかにはちゃんと快く受け入れてくれる人たちもいるが。

 大抵、年に数回かそれ以上、利用を拒否されてしまった経験を持つという補助犬ユーザーが多い。


 そして、いま。


 今まさに、世界中が「コロナ禍」と言われる状況で。

 補助犬ユーザーや、補助が必要なひとには、特に困ることがある。


「外ではマスクをして、人との接触を避けるように」


 盲目の人にとっては、列に並ぶ時などで「周りとどのくらいの距離があるのか」は、イマイチ自分だけでは分からない。人との距離を「もっと」空けろと言われても、見えないのだから、分からない。

 盲導犬も、こんな事態への対処法は教わってはいないはずだ。

 耳の不自由な人からすると、呼ばれたのが自分のことでも、「音」ではわかりっこない。

 時には、聴導犬でも誘導の難しいことや、新米パートナーなどには特に、なかなか伝わらないこともある。

 車椅子や、寝たきりだったりの、介助の必要な人にとって「接触を避けろ」というのは、当然無理な話だ。介助犬でも、落とした物が、どんなものでも拾えるとは限らない。

 白杖の人も、急かされたって歩くスピードには限界があるし、急ぐのは危ない。


 これらのことを全て、補助犬が伝え、誘導するのはベテランであってもなかなか難しい。


 そういう時、外部の人から一言。

「すみません。あと一歩、後ろに下がってくれますか」

だったり。

 目の前に立ち、ジェスチャーや、紙とペンだとかで

「あそこの人に呼ばれていますよ」

と、教えてくれたり。

 転んでしまった時に、

「大丈夫ですか?」

と、一人の声掛けでも、その現状は好転するかもしれない。

 また、これらの事案はなにも「補助犬ユーザー」に限った話でもない。

 補助犬ユーザーにはユーザーの。そうではない障がい者たちにも、それぞれに似た悩み、まったく違う悩みがある。


 最近では。

「犬からコロナが伝染するかもしれない」

という気持ちから、前よりも風当たりは強くなりがちだ。

 不安なのは分かるが、それを言うなら動物園や水族館も機能しないし、「ペット」がいるひとも、まったく外に出てはいけない、ということになる。

 そして、補助犬の排出物を多機能トイレに流すな、とも言う声もあるが。

 生理現象だ。生きている以上、ひとでも犬でも、しないわけにはいかない。

 それに、毎日のことなのだからユーザーもちゃんと処理するし、補助犬たちもその訓練は、一般の動物よりもしっかりと教えられている。むやみやたらにしてしまうことはほぼないだろう。


 よく

「いきなり声をかけて、大丈夫だろうか」

「驚いた拍子に、転ばないか」

 そう、悩むひともいる。このご時世だと、なおのことそう考え、戸惑うという。

 しかし案外、彼らはその「声掛け」を必要ともする。

 例えば、補助犬が

「信号の色が変わったよ」

と伝えられるかというと、それは難しい。なにせ「人と人」ではなく「一人と一匹」なのだから。

 犬と、人間が見ている色は、どうやら違っているというから、尚更だ。



 まずは、様子を見ることからでいい。

 そして。

 困っている、とか、危ない、と感じたら、どうか勇気をだしてほしい。

 それが、「あなたを受け入れます」という、意思表示ともなり得ると、私は思う。

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