29. どうしても、マスクを着けられない

 ――2021年。

 新型コロナウイルスの感染拡大により、より手洗いや消毒やら、気をつけることの多くなっている今日この頃。

 もはや、日常で欠かせなくなっている物の一つに「マスク」がある。

 人々の中には、それをしていないと、注意する人もいるだろう。

 どうやら、そういう相手は「マスク警察」と呼ばれるらしい。

 注意の対象となるのが、「ちゃんと」マスクをしていない人だ。

 マスクをしていない人はもちろん。 マスクが顎まで下がっている人や、鼻がでている人も、対象となる。

 更には、「布マスク」では、対策が弱いと言う人もいるとか。



 しかし人間、様々な特性を持つ人がいるもので。

 例えば、「感覚過敏」のひととか。

 感覚過敏とは、触覚などの五感が、敏感に反応してしまうことを指す。

 たぶん、想像だけれど。

 花粉症のひと相手に「くしゃみをするな」などと要求するのと、対して差はないと思う。どうしても辛い。もはや不可抗力だ。


 そしてその感覚過敏は、発達障がい者に多いとされている。

 感覚過敏とは違う発達障がい者のなかにも、マスクをつけるのが困難な人は多い。

 むしろ、マスクを難なく着けられるひとの方が少ないかもしれない。


 単純に、「着ける意味が理解できない」ということからのひともいるし。

 呼吸器を必要とすることのあるひとは、マスクをすると、ほかのひとよりもっと、息苦しさがあるのだと思う。

 あと、耳が変形、又は極端に小さいなど、物理的にマスクを着けるのが難しい、又は痛くなる、という人もいる。

 

 発達障がい、感覚過敏、皮膚の病気、呼吸器の病気など、さまざまな原因で、「着けたくない」のではなく、「着けられない」のだ。


 そういうひとがいることを知って、理解してほしい。



 それと。

 そういう相手に、寄り添おうとしてくれる人々も、実は、ちゃんといる。

 とある区や、市など、全国の中の、どこかだったり、個人でも、あるものを作った人々がいる。

 それが。

「マスクをつけられません」

 というバッチや、カードだ。

 たぶん、「ヘルプマーク」について理解しているひとは、想像しやすい。

 

 「誰かが、理解してくれている」

というのが、いつの日か

 「みんなが、分かってくれている」

に、変化してくれるようにと、私は願うばかりだ。

 それは。

 

「差別のない世の中になること」


 そう、在りたいと思う。

 そんな、志しで溢れる世界だと、いい。

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