16. 「知ろうとすること」の意味

 私の、兄たちの障がいへの理解は、ほぼほぼ「実戦」だ。だから、あまり障がいの特徴などに詳しくはない。


 生まれたときから、そこにいるのだ。

 それこそ

「ふしぎ、おかしい、みんなとちがう、こわい」

 そんな感情をもつヒマもなく、ふたりはいたのだから。



 医療センターについていくと、そこには様々なひとがいて。

 鼻にチューブをつけてるひと。

 車椅子のひと。

 寝たきりの状態で、ベットごと動かされてるひと。

 いきなり聞こえる叫び声。

 落ち着きのなく、飛びはねる子。

 声が言葉にならないひと。

 ……本当に、様々な「音」がする。

 私からすれば、それも「よくある光景」のうちに入る。


 私の友人のなかには、同性愛者のひとがいる。

 そのひとの「カミングアウト」は、いつだったのか、そもそもしたのか、覚えていない。

 それでも、私たちにとって、そのひとが「友人」であることには変わりない。少なくとも、

私はそう思っている。

 だって、人がひとを好きになることに、間違いがあるんだろうか。



 よく、こう思う。

 人がひとを恐れたりするのは、相手を知らないからもある、と。

 とある話のなかに、こんな言葉を使った。


 人間は、ずるく賢いものだ。自分が大切で、「ひとりぼっち」を恐れる。

 言葉がわからないのは、使う「音」か違うからだ。そして、言葉を知る術を持たないから、話が通じないのだ。

 ――なら。

 自分の「ことば」とそうでない「言葉」、その両方を得ればいいのではないか。

 ……とはいえ。

 なかにはやはり、知ることでもっと恐くなるようなことも、あるだろう。

 それでも、どうか挫けないでいてほしい。

 ――だって。

 なにをするにしても、「知ろうとすること。」

 そこから始まるんではないだろうか。


 その方法も、いろいろある。

 本の知識に頼るなり。その空気を、肌で感じるなり、だとか。

 たとえば、それはひとの持つ「探究心」とも言えるだろう。それでもいいのかもしれない。



 ひとは。

 自分の近くの、大切なことほど、意外と見落としがちだ。

  世間一般の「常識」なんて、なんと的外れなことか。

 さあ、今日も人々は。

 たくさんの「言葉おと」を交わそう。

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