10. 障がいを持つひとのきょうだいへ

 障がいを抱えるひとの兄弟姉妹を、「きょうだい児」と呼ぶ。

 私自身がそうだ。

 

多くは、何かしらの「我慢」だったり、逆に「わざといじわる」をしては、親に叱られたり、と。

 その内に抱える悩みがあるひとがほとんどだ。

 私の場合は、

「兄たちの分も、私がしっかりしなくちゃ」

と言って。背伸びをして、親に手間をかけさせないように「いい子」として。

 ときに子供らしくなく、末っ子らしくない「お姉ちゃん」をしていたら、大人になって、苦しい気持ちになっている。


 記憶、というより。憶測では、私は「普通の基準」だったのではないかと思う。唯一の健常児だったからか。

 親戚にすら、褒められたためしがない。


 子供のころの私に言いたいことを。

これを見ているかもしれない、どこかの「きょうだい児」に、おくりたい。



 ……もっと、甘えていいんだよ?

あなたはまだまだ、子供なんだから。

ここでそんなに我慢したって、後で苦しいだけなんだよ。

 子供が大人に頼って、甘えるのは、なぁんにも、おかしいことはないはずなんだから。


 大人であっても、親に甘えることは、そんな悪いことなんかじゃない。この際、恥ずかしさはほっぽっていいと思うんだ。

 苦しいときはちゃんと言えばいい。

悲しかったらそのままに伝えて、いっそ泣けばいい。

 自己主張って、難しいかもしれないけど、大切なことだよ。

(作者の永遠の課題だ)


 親にはどうしてもできないなら。

近所のおばさんとか、きょうだいの先生とか。

 いまは、「きょうだい児」をサポートする人達もいるし、同じ悩みの、ほかのきょうだい児と話す場だって、探せばある。


 私は、たぶん我慢しすぎて、耐えすぎて、「友達」に迷ったり。

いろんなことが重なった末に。

精神病を患ったのかもしれない。

 あなたは、そうなる前に。

 ちゃんと、甘えて?



 親たちは。

 障がい児を優先し過ぎて、そちらばかりを

「もう、しょうがないなぁ」

なんて言って、構い過ぎて。

 その前後の、もう一方の大切なはずの子供には、

「わかってちょうだい?」

なんて、「理解」ばかりを求めないで。

 きょうだい児に、頼りすぎないで。

 ちゃんと「甘える」ことを教えてあげて?



 ――ほら、そこにいるでしょう?

一生懸命に背伸びをして、いまにも泣きそうで、でも耐えている。

そんな、小さな命が。

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