6. とある一例 ―精神患者―

精神的な病気というのは、正常な時と、そうでない時で、本人の体調やら、態度やら、はたまた性格すら、別人になることがある。

 ――ノンフィクションな話を、一つ。



 あるところに「統合失調症」という、病気を持つ少女がいた。

 普段の少女は、人付き合いも良いほうで、動物や子どもとも戯れたりする、どこにでもいるような普通の少女だ。

 ――表向きは。

 この少女の特長は、落ち込むとよく、自身の体に傷をつける、または、自分で自分を窮地に陥れるのだ。

 例えば。

 相手の、行動や、言葉。特に、親しい人間の。

「目を合わせてくれない」

「面倒くさいと言われた」

 または、態度。

「嫌そうな顔された」

「ため息をつかれた」

 難しいのが、それら一つ一つが合わさってではなく、たった一つの物事でも、落ち込んでしまうことがあるのだ。

 落ち込み方も、多種多様。

 暗い部屋の隅でうずくまっていることもあれば。寒空の下に薄着で出たり。歯で腕をかじったりも。

 一番危ないのが、「刃物」に目を向けた時だ。

 少女は病院行きになるほどのことには至っていないが、今後、まったくありえなくはないだろう。

 ――いわゆる、リストカットというやつだ。



 それからもう一つ。

 病院通いのひとならだいたいはあるだろう、「薬」だ。

 少女の場合、大量摂取しても、今のところは何もなかったが。( 精神安定剤では、あまり死には至らないのかもしれないが )

 薬物であるのには変わりない。万が一のために、注意するべきだと思う。



 上記の、作者の話は、本当にほんの一例だ。

 精神の病気は、時に肉体の病気などよりも、よほどつらい時がある。けれど、知名度はあまり感じないのは、気のせいか。

 何の縁で、これを読むか。それこそ人それぞれだ。

 人それぞれだからこそ、ひとは恐いのだ。



 ――苦しみや、悲しみを味わったひとというのは、転換すれば、とても強く、優しくなれる。それはなぜか?

 苦しい気持ちを味わった分、悲しいことを乗り越えた分、ひとの気持ちが分かるから。強く生きて、ひとを気づかうことができるのではないだろうか。

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