2. 興味を ―障がい―
私が生まれた時には、もうすでに、ハンデを抱えた兄がいた。
その関係で、幼いころはよく、兄が通っていた学校――今の言い方で、確か「特別支援学校」だったか。そこで行われる行事に見学に行っていた。
運動会や文化祭では特に、生徒らの、それぞれの個性がよくわかる。
……これは私の思うことだが、彼らは確かに、幼稚な面はあるが、決して「頭が悪い」のではなく「脳がうまく回らない」とか、そんなように見える。
決して「何もわからない」というわけではない。むしろ、ひとの感情には敏感なところがある。
言い方としては、「空気を感じる」とでもいうのか。人によるが「読んで」はくれない。
周りが静かなほど、騒いだり。泣くような場面で、笑ったり。いい意味でも悪い意味でも、「赤ちゃん」に近い面がある。
私の叔母は、兄妹に兄の病気のことを隠していたらしい。たぶん、叔母にも事情があったのだろう。彼女はいつも、忙しい母の一番の助っ人だった。……助っ人をしすぎたのか、歳もあり、今は足腰が辛いらしい。
そんな叔母の兄妹家族相手に、小さい頃の私は言ったそうだ。
――お兄ちゃんの分も、私がしっかりしなくちゃなんだ!
結果として、私がばらしてしまったが、その一家とは、それからも交流が続いた。めでたしめでたし。
ちゃんと、病気について理解してくれるひとは、確かにいる。いまはドキュメンタリーやチャリティーなど、触れる機会はいくらでもある。
――それでも、まだ甘い。ぜんぜん甘い。
どれだけのひとが、「オリンピック」を待ち望んで、「パラリンピック」を気にしていないか。
それが、今の「日本」なのかもしれない。
知らないわけではない。けれど、興味がない。
……いろいろとごちゃごちゃになってしまったが。
障がい者と、健常者。「まったく同じ」ような扱いはできないこともあるが、同じ「ひと」なのだ。
それは、知っているひとは、言われるまでもないことかもしれないが。
「興味がない」なんて言わず、もうちょっと、好奇心やらに刺激を与えてやっても、いいんじゃないだろうか。
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