第3話
何が起こった?
気が付くと半径50mのリングの端にいた。左手の「黒装」も気が付けば発動している。開始のコールのあと覚えているのは奴の体が発光し懐まで接近していたこと。
(悪いが、こちらで勝手に《起動》させてもらったぞ)
突然声をかけてきたのは俺の左手にいる悪魔だった。
(!お前が話しかけてくるなんて珍しい。どういう風のふきまわしだ?)
(流石に危険そうだったんでな、最低限の手助けと言ったところだ、今死なれると私も困る。契約は果たしてもらうぞ。)
(ああ。分かってる。)
(それと)
(?)
(奴の攻撃はなるべく受けろ。もっとも、お前に躱せればの話だが。)
どういうことだ?確かに不意は打たれたがそこまでダメージはない。それにこいつがアドバイスめいたことを言うのはかなり不自然だがとりあえず従うことにする。
「へぇ、今のでいったと思ったんだけど意外と重いんだなあんた。」
改めて奴を見ると服装が変わっている。最初の発光は換装魔法のものか・・・今のビルは白い学ランのようなインナーに右手に白い籠手のようなものがついている。だがあれは籠手というよりかは・・・
「お前のそれ、まさか・・・」
「これか?なんとなく分かってんだろ?あんたのそれと一緒だよ。俺も憑き人(ツキビト)だよ。」
「国を背負って立つ聖騎士が憑き人だなんて民が知ったら大事件だな、こんなところで使ってよかったのか?」
「これを悪魔の産物だと気づくのは同じ憑き人くらいさ。それに今の明星の騎士団の副団長より上の人たちは皆憑き人だぜ?」
「・・・そうなのか、それこそこんな場所で言っていいのかよ」
「いいんだよ俺らの会話は観客には届かないんだし、唯一聞いたお前も・・・」
言葉の途中でまたも目の前から消えた。
「ここで死ぬんだからなぁ!」
振り上げられた右手を紙一重でかわす。そのままリング中央まで戻り体制を立て直した。すると奴の右手が光り、一本の光の筋が俺めがけて飛んできた!堪らず黒装で受け止める。すると黒装の一部が剥がれ肌が露出した。
俺の能力である黒装は黒い帯上のものを体に覆い発動する、その性質は《触れたものの硬度を必ず上回る》というものである。つまり硬さの上限がなく基準は触れたものの硬度に依存する。ダイヤの剣でさえ粉々に粉砕できる。しかし黒装は魔法ではなくあくまで能力なので際限があり今は左手を覆うぐらいしか出来ない。だがビルが今までの不動の戦い方なら余裕で勝てたんだがな・・・黒装の唯一といってもいい弱点は光属性の魔法に弱いこと。つまり今受けた攻撃は・・・
「イッテェェェェェェェェェエエエエエエエエエエエエ!!!!!!!!!!!」
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