第16話 調子に乗る女神


「ほらほら~、待つですよ~」


「き、きるる~」


 ガチャの間には、妙な光景が広がっていた。

 両手に板チョコを掲げたガチャリカが、両手にパイルバンカーを提げた杭打ち少女キルユーを追いかけまわしている。

 円形の部屋の端っこをドタバタと何周も走り続けていた。

 杭打ち少女の身体能力なら簡単に逃げられるはずだが、それもできないくらい怯えているようだ。


「まさかチョコが特効とはなぁ……」


「特効、ですか?」


 ソシャルに俺はうなずいた。


「言っただろ。ほとんどの攻撃に耐性があるぶん、なにか弱点があるはずだって」


「それがチョコだった、と」


「ああ」


 チョコしか出なかったときは、どうしようかと思ったが――

 俺は、ガチャに勝利していたのだ。


「ふはははは、くらうがいいです! ディバイーン・チョコラスティック・ダブルスラーッシュ!」


 と、悪役にしか見えない笑みを浮かべたガチャリカが、背後からキルユーに飛びかかった。

 板チョコを持った手を交差させて振り下ろす。


「斬! ですよ!」


 チョコがキルユーの背中を捉える。


「きるるる~……」


 弱々しい声を残して、杭打ち少女キルユーの体は光の粒子になって消滅していった。

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