第15話 おやつを奪われる女神


「きるる」


 ガチャの間にて。

 杭打ち少女キルユーが再び俺たちの前に現れていた。

 扉が破られ周囲には警備兵が転がっている。


「あ、しかもパワーアップしてませんか、アレ」


 ガチャリカの言うとおりだった。

 杭打ち少女は、いまや両腕にパイルバンカーを装備していた。

 右手と左手。

 それぞれに凶悪な尖端が光っている。

 閉じ込めていた障壁が、予想していたよりも早く突破されたのは、単純に破壊力DPSが2倍になったからだったわけだ。

 対して、障壁を張っていた俺の魔力は使い果たされている。

 けっこうピンチだ。


「きるる」


 ……試してみるか。


「ああっ、わたしのチョコを!」


「お前のじゃないよ?」


 俺はガチャリカが持っていた板チョコをつかんで、キルユーに放り投げてやった。


 目的は――餌づけだ。


 そう。チョコが大量に出たことに意味があるとするなら、そういう使い道があるはず!

 優しく放り投げたチョコに対して――


「き、きるる~」


 キルユーはうろたえた様子で跳びすさった。

 ……あれ?

 思った反応となんか違うな。

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