第13話 気遣う女神

 ――が、ダメでした!


 ガチャを回した結果、俺は大量のチョコレートを手に入れていた。

 チョコレートではきっと、杭打ち少女キルユーを倒せない……

 資金は使い果たした。

 しかし、なぜチョコレートしか出なかったのだろう。

 異世界に召喚されたときが、ちょうどバレンタインだったせいだろうか。

 べつに期待などしていなかったのだが……

 ああ、そうか。

 たくさんチョコを集めるイベントがゲームであったから、きっとそのせいだろう。無意識のうちに集めようとしてしまっていたわけである。

 納得だった。


「カツキさん……」


「勇者様……」


 台座に出現したカプセルからあふれ出したチョコレート――

 それを前にして、虚ろな目をしているだろう俺に、ガチャリカとソシャルが声をかけてきた。


「言ってくれれば、わたしがガチャを回す権利と引き替えにお作りしたましたよ……?」


「ゆ、勇者様! よくわかりませんけどそんなにチョコがほしかったのですね! 勇者をもてなすのはわたくしの義務。そう! 義務チョコをお渡ししますので!」


 いや、チガウンダヨ?

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