第9話 放つ女神
黒い球体へ向けて駆け出したガチャリカ。
振り上げた拳に純白の輝きが集う。
「すべての威なるモノよ。我が呼びかけに応えて集え。命じるは、破壊。破壊。破壊! 我が敵、汝は畏怖せよ。恐怖せよ。懺悔せよ!」
物騒な詠唱とともに拳の輝きが増していき――。
「星さえ砕け! 女神ガチャリカの名のもとに!」
ガチャリカは拳を突き出した。
「ファイナル・パニッシュメントぉ!」
黒い球体に向け、収束した光が拳の先から放たれ――。
ぱしゅん。
かき消えた。
「あれ?」
間の抜けた声をガチャリカはあげる。
と、黒い球体にぴしりと亀裂が入った。
「あ、これはあれですね! 言ってみたかったんです――やりましたか!?」
「まあ、やってないだろ」
俺が言うと、ガチャリカは振り返えって頭をかいた。
「デスヨネー」
「の、のんきにしてる場合じゃありませんよ!?」
俺の横でソシャルが慌てた声を出す。
ピシピシピシ、と黒い球体の亀裂は見る間に全体に広がっていった。
砕ける。
さて、どんな魔獣が現れるのか。
「女の子ですね」
「女の子だな」
「逃げてください逃げてください逃げてください!」
巨大な黒い球体が砕けた中心には、12歳ほどに見える白髪の少女がぽつんと佇んでいたのだった。
少女は、その年頃の少女が持つには不似合いなものを右手に提げていた。
俺の知識が正しければ、あれは――
パイルバンカーだ。
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